交わる世界 Faile(50)「町から消えたもの」

最近、町を歩いていると、勿論、ごく近所のことですが、都会地では公衆電話のボックスが、ほとんど消えていってしまいました。

私のように、あちこちへ取材に出かけることが多い者は、かなり都会から離れた田園地帯へ行くと、バスの停留所には小屋があって、そこでバスが来るのを待てるようにしてあったり、その脇は公衆電話ボックスがあったりすると、なんだかほっとしてしまうのです。

そんなことを考えて、自分の住んでいる町ではどうだろうかと考えてみましたら、ちょっと足りなくなったものを買おうとしたら、いつの間にかお店がなくなっていたりすることがあります。

その中で特に私たちに関係のあるお店が、かなり少なくなってしまっているのに気が付きました。その代表的なものが文房具やと本屋です。

どちらも仕事に直結するものなので、近所から馴染のお店が消えていってしまうのは、残念でなりません。

かろうじて文房具は学校の前に一軒だけ残ってはいるのですが、町の中からは、姿を消してしまいました。

本屋も都心まで出て行かなくてはなりません。

かつて親しい者が小さな書店を経営していたことがあったのですが、ほとんど売れる本を回してくれなくなり、雑誌ばかり持ち込んでくるので、維持が出来なくなってしまい、閉店してしまいました。ほとんど大手の書店に、売れる本は独占されてしまってるとのことでした。

そんな話を聞くと、もう散歩の途中で立ち寄ってみるという文房具屋、本屋が消えて行ってしまうのは、小さな文化の拠点が失われてしまったようで、残念でなりません。その代わりに増えつづけていくのは食べ物のお店です。

歌うこと、走ること、食べることが全盛で、正に本能的なことは盛んですが、読むこと、書くこと、考えることが、大変勢いを失ってしまっているのは、残念でなりません☆