交わる世界 Faile(52)「来訪者」
今回は来訪者でも、ちょっと違った来訪者についてのお話です。 長野県の軽井沢に、小さな仕事場兼休養のための山荘を持っているんですが、ここには一年を通して、さまざまな来訪者がありました。 雉、狐、狸、熊、猿、猪と、とにかくいろいろな意味で楽しめるのですが、ちょっと困った来訪者もいるんです。
ベランダの手入れをしたのですが、その塗料が気に入ったのか、雨戸をしまう戸袋の桟をかじっていくのです。
その来訪者は、ムササビです。
一度は深夜に、ベランダで対面したことがあるのですが、私がいない季節などは、自由にやって来るらしく、一寸見ないうちに、戸袋の桟はがりがりかじられてしまって、ほとんどぼろぼろになってしまっているんです。
季節が変わっても、必ずやってきて、がりがりとやっては去っていきます。
夜など寝ていると、いつの間にかやってきて、がりがりやっていきます。
止めさせようと飛び出したりすると、見事に翼を広げて飛び去っていきます。
まぁ、こういった思いがけない来訪者が、沢山いるのは楽しいといえば楽しいことです。
熊が下水道に流れた灯油をなめに来たり、早朝から群れと共にやってきて、屋根の上で大はしゃぎしたあとで、庭の栗をみんなで食べているなどという光景は、こうした高原でななくては、味わえないことかもしれませんね。
もうすぐ寒い冬がやってきて、山荘は閉めます。
また来年、春まで、来訪者との対面もお預けです。
鶯の美声が山に響く時まで、しばらくサヨナラです☆