観る世界 Faile(34)「手作りの味」
最近の傾向は、安く、早く、便利で、使い勝手がいいというのが商品展開の基本のようです。
不景気の時代ということもあって、予算的についてもかなり制約があって、安価に仕上げるということが基本になっています。
そのために手間をかけて作って行くようなことが、どんどん省かれていってしまいます。手間を懸けると言えば、どうしても時間がかかりますし、販売するとすれば、どうしても安価にという訳にはいきません。
そんな時代の勢いに押されてしまって、もの作りの世界からも、手作りのぬくもりを感じる作品が少なくなってしまいました。
その典型的なものの代表は、アニメーションです。
かつては大変多くの人の手を通して一つの作品が作られていきましたが、コンピューターが採用されるようになってから、大分様相が変わってしまいました。
少なくとももの書きを目指す方には、ちょっとアドバイスをしておきたいと思います。
一つは作画、一つは色遣いというものです。
かつてはそれらについて、かなり不満がありました。
それを担当した者の力量がはっきりと出てしまうからです。
それが現在は、ほとんどの作品がコンピュウター処理で行われているので、ほとんど作品でのばらつきがなくなっています。ある程度はきちんとした表現は出来るのですが、その分大変つまらなくなっています。
つまり味が亡くなってしまったからなのです。
果してこれが前進と言えるのかどうか、考えさせられてしまうのです。かつては担当した者の力量が問われてしまったのですが、その点は解消したのですが、その分だけ味気のないものになってしまいました。
一体、味わいのあるアニメーションはいつになったら出来るのでしょうね。
それには先ず、スタッフの力を上げる必要があると思うのですが、それと同時にその力量のあるスタッフを組み込めるような予算もある程度準備できる状態にならないものだろうかと考えたりしてしまいます。
現在のアニメーションを見て育っていく児童のことを考えると、ちょっと心配なことも感じてしまうのです。
質のいい絵、質のいい色塚死というものを伝えてやらないと、次代を担ってくれる者が出てこないかもしれないような気がしてきてしまいます。
コンピューターの進化によって、何もかも便利にはなりましたが、失っていきつつあるものもあります。
今後の課題です☆