観る世界 Faile(35)「80’ 年代考」

世代によって、それぞれ違った感性、感覚、人生観を持つということは確かなことで、それはそれぞれの時代の空気、時代の流れの影響を受けながら育っていきます。そしていつかその世代の者が時代のリーダーとなって、社会をリードしていきます。 現代の様子をみていると、まさに70年代から、80年代時代に青春時代を過ごして来た人たちが中心になっていることが判ります。

それはその頃に仕事をしてきた私たち世代の者は、その頃の中学生・高校生・大学生という世代の人たちを相手に、テレビ番組を制作してきましたから、〜らがどんなことを好むかということは、割によく知っているつもりです。

当時はむらがり族と言われていて、とにかく同じ好みを持った者が、群がるというので、かなり批判されたりしていました。それにコンピュウターという新たな時代を代表するものが登場して、ゲームなどが持ち込まれてきましたから、これまでの仕組みやルールというものが、すべて壊れていく時代で、あらたな社会の仕組みが組み立てられ始めた時です。従って新しい者には目がない若者たちは、とにかくそれまでのものを捨てて、新たに登場してくるものを歓迎する気風が満ち満ちていましたから、旧世代の人たちから言わせれば、理解できないようなもの・・・いって見れば道徳律というようなものは全部否定してかかってくるので、顰蹙をかうようなことが多かったのです。所謂、漫才ブームという者が、一次、二次、三次とやって来て、彼らの中から若者にもてはやされるスターが登場してきました。

とにかくそういった若者たちが、世の中をひっかきまわしていったのですが、とにかく窮屈なことは大嫌いであったように思います。

そういった青春時代を送って成長した人たちが、今、ほとん

ど時代を牽引していく中心人物になっています。

かつての第一次漫才ブームで飛び出してきたのが松本紳助です。彼が目下テレビで大活躍をしていることを思うと、現代の社会の中心勢力がどの世代に移っているのかが判断できるはずです。バラエティ番組が氾濫するのはそのためなんです。真面目にコツコツといったことよりも、より自由に開放的なことを好んでやろうとします。その分どこかまとまりがなくて破天荒です。

すでに高齢者となった人々は、そんな時代の空気に戸惑いつづけていますが、もう一度80年代を思い出して頂けば、それほど慌てることもなくなるのではないかと思うのです。

そのうち落ち着いた時代がやって来るはずです。

旧世代の人間として、新世代の者たちとどうぶつかりながら仕事をしてきたかを考えてみると、意外に現代の風潮も理解することができるのではありませんか。こうした揺さぶる時代があって、あらたな時代が構築されていくように思うんです。納得出来るかどうかは別問題ですが・・・☆