観る世界 Faile(38)「デジタル雑感」

いよいよアナログ放送ともサヨナラする時が、あと一年と言うことになりました。

時代の進化、科学の進化と言うもので、放送の仕組みが変わっていくということです。その変化によって、さまざまな世の中の仕組みが変わって行くように思われます。

すでに我が家はデジタルの準備は整えたのですが、次第にデジタル番組を見ているうちに、有ることを感じるようになってしまいました。 あまりにも美し過ぎるのです。そしてCGに感じていた美しいものを表現ということで、ある心配・・・わたしにとっては不満になることなのですが、かなりはっきりと感じるようになってしまったのです。

かねてから放送をはじめ映像を作る人たちから出ていたことなのですが、衣裳、化粧ばかりでなく、セットも、汚れは一切認められないというのです。細かなところまでくまなく映し出されてしまうので、すべて綺麗にしておかなくてはならないところから、衣裳は美しく整えなくてはなりませんし、化粧も厚化粧にならざるを得ません。セットも汚れなどは許されません。予算がかかるという現場の声をかなり聞きました。しかし考えてみると、私おたちが接している生活の中ではそんなに美しく整理されたものばかりでしょうか。絶対にそんなことはないはずです。

わたしはかねてから、アニメーションの原色ということに関しては 、かなり批判的なことを行ってきました。それは中間色が表現できないという弱点があったからです。

今回のデジタル放送にも、同じような不安を感じるようになってしまったのです。極端に美しく映し出されるので、観ていて疲れるし、それが現実とは思えなくなってしまったのです。

私たちが接している世界は、あのように幾何学的に美しい世界でしょうか。

現実の世界はアナログの風景です。

デジタル放送によって、わたしたちの感性の世界までも変えようというのでしょうか。いえ。そういうことにならないように、もっと優しさのある、おだやかで、暖かい感性を持ちつづけて行けるように努めていかなくてはならなくなるのかもしれません。

あまりにも美しくあり過ぎるデジタル放送を見ながら、ふと、不安を感じたことを書くことにいたしました☆