観る世界 Faile(47)「デジタル考」

いよいよアナログの世界が終わって、デジタルの時代になります。その時が刻々と近づいてきています。

一般的には、ただテレビが変わったり、アンテナの様子が変わったりということでしかないかも知れませんが、よくみていると、アナログ時代とは随分違ったことがあるということに気がつくのです。それは、わたしがかつて放送にかかわってきた者だからそうなるのかも知れないのですが、デジタルになることで、映像表現が美しくなるのはいいとして、そこには様々な問題があるということにつき当たるようになってしまったのです。

それは、美しさということについてです。

デジタル画像は、かなり細かなところまで写しだしてしまうので、アナログ時代の状態で制作してしまうと、美しくないもの・・・つまり汚れたものまで、はっきりと映し出してしまうことになってしまいます。その難点を克服するために、却って不自然な処理をしなくてはなりません。

ドラマなどの出演者は、先ず衣裳に気をつけないといけません。兎に汚れたものは汚れたなりに、美しいものは美しいなりに映し出してしまうので、よほどそれには気をつけなくてはなりませんが、それと同時に化粧も同じです。細かなシミ、皺等もうつしだしてしまうので、それを隠すのに、厚化粧になってきてしまいました。

背景も不自然に美しすぎます。

そのために費やす予算は、これまでつ比べ物にならないのではないでしょうか。

こうなってしまうと、デジタルの世界は、リアルな世界とは遠く離れた姿を映し出す世界なのだと思わざるを得ません。

さまざまなものが、ごく自然な姿で捉えられていたアナログの世界に、今から郷愁を感じているのですが、皆さんはどう考えていらっしゃるでしょうか。克服しなくてはならない問題の多いデジタル時代が、もうすぐやってきます☆