観る世界 Faile(54)「実験番組の夢」

昨今、よく考えてみるのですが、一日中大騒ぎをしているような番組ばかりを見させられているようで、だんだんテレビを観ることが遠ざかりつつあります。ただしドキュメント番組に関しては別ですが、ほとんど落ち着いて観ていることが出来そうな者が見つからなくなってしまいました。

そんな中で、ふと、何の脈絡もなく、アニメーション番組で、老、壮、青の作家によって、作品を発表する機会は得られないだろうかということです。アニメーションはいつも時代を先取りするようにして進んでいくものですが、昨今、極めて元気なのに、ベテラン作家たちが仕事を失ってしまうことが多いように思えます。それと同時に、若い作家たちには、当然の権利である著作権を放棄しなくては仕事を出さないということをいわれているという話が飛び込んできます。

かつて・・・私が放送作家協会の動画部長をしている時に、そんなことが問題になったことがありました。その時は同輩、後輩の協力で、一人でもそうした圧力に負けないようにと、会議の後では飲食を共にしながら、結束をしてきたのですが、あれから三十年たっても、また同じようなことが伝わってくるのは、残念でなりません。

ここで一つの実験ですが、老、壮、青の世代別に番組を書く試みをして下さる局はないでしょうか。

それぞれの世代の感性を楽しむばかりでなく、それぞれの感性の特徴を知ったり、学んだりもできて、作家たちにとっても励みになるのではないだろうか。

困難なことは承知の上で、こんなことを夢想したりするのです。

ほとんどの絵がコンピュウターによって描かれてしまう番組を見ているうちに、かつてのアニメーションの持っていた温かさが、捨てきれない大事なものであったような気がしてくるのです。そんなものも含めて、比べられるような番組を制作してみようというスポンサーも出てこないものでしょうかね。

初春の夢でした☆