思う世界 Faile(30)「天皇と政治」

最近、天皇の在位20年という銀貨が発行されるという報道がありました。

まだまだそれほど長期間在位を記録したわけでもないように思うのですが、前の昭和天皇が64年という在位期間を知っているので、そのような気持になるのかなどと考えたりもします。

現代では天皇はあくまでも象徴ということになっていますから、特に政治に口出すようなことはなくなっているのです。所謂政教分離というもののためです。

それでは日本で内閣というものが誕生したのは、いつごろのことでしょうか。

ちょっと、古代史を振りかえってみることにしました。

その結果、結論はやはり飛鳥時代のことになったのです。

わたしが「宇宙皇子(うつのみこ)」を執筆している頃のことですが、国の始まりからその政治が、どのような人々によって担われてきたかを追って行きました。すると間もなく非常にはっきりとしてきたことがあったのです。

日本では、先ず創世記から暫くは、神々が統治者でした。

そのあとは皇族の時代になりました。

ここまでは、まだ内閣といえるようなものは存在していません。

それらしいものが成立するのは、ようやくその後の時代の、貴族の時代になってからだということが判りました。つまり持統天皇の時代からということです。

それは藤原不比等を中心としたもので、貴族が内閣を組織して政治は彼らが動かすようになったのです。天皇は政治に関与するよりも、むしろ祭りごとを中心に務めを果たすということになりました。

更にそのあとは、武士の時代となり、やがて庶民の時代になったわけで、あくまでも天皇が朝廷の頂点に立っていたのは、ごくごく短期間であったということになるのです。天皇が指揮をしているようにみえながら、実際には政治のかじ取りをしていたとはいえない時代もあったのです。

昨今、その在位期間の長い、短いということが話題になっているようなのですが、先日、歴代の天皇の在位期間を調べてみたところ、それほど長い人もいないのではないかと思いました。 内閣の都合で、天皇が変えられてしまうようなことが多くなっていったからです。

そういう点でも、政教分離は正しいと思うのです。

政治のために、その在位期間に影響が及ぶというのは、如何にもおかしなことです。

そういうことに関係なく務めを果たしておられる、現代の天皇の姿が、一番いいのかなと思ったりもしているのですが・・・今上天皇の在位期間が、少しでも長くありますようにと、お祈りしながら筆を置きます☆