思う世界 Faile(45)「月とわたし」

気の早い話で恐縮ですが、今年の6月16日に、月食が起こるという発表がありました。

恐縮ですが、この日は私の誕生日なのです。ひょっとすると、昨年秋に「幻視行 月の都、京都」(平安京をめぐる旅)という本を書き、淡交社から出版されました。そんなことから、月がプレゼントをしてくれたのではないだろうか・・・私は勝手にそう思うことにしています。

私と月とのかかわりは、かなり昔・・・正確にお話すると、脚本家としてはまだまだほんの駆け出しで、仕事が出来るのかどうかもはっきりとしない頃でしたが、栄養失調になってしまった私を、親友の婚約者であったM嬢が救ってくれたことがあり、彼女の家から帰る夜道で見た、大きな白王・・・月と対面しながら、涙、涙でした。その時のことは、「ドラマ」という雑誌に「M嬢のおにぎり」というエッセイを書いたくらいです。

それ以来、月への愛着を持ちつづけているのですが、50年もたって、月と京都のかかわりを本格的に調べながら、描いたのが「月の都、京都」でした。

ひょっとするとこのこだわりを、月神が認めてくれたのかもしれません。

出版からそれほど時も立たない、今年の誕生日に月食という天体ショーをやってくれるというのです。こんな嬉しいことはありません。

この他今年は誕生日前後に、映像作品に関して、活字作品に関しての催しが、計画されているのです。

太陽のようにギラギラと輝くことがない、大変地味な存在ですが、我々の暮らしには欠かせない働きをしている月への愛着心は、200首もの歌を詠んでいる、古代の人にも負けません。どうかあなたも、静かで、穏やかな月のファンになって欲しいと、切に思うのですが・・・☆