思う世界 Faile(49)「仏像の魅力」

京都へ通うようになってから、寺で仏像と向き合う機会が多くなりました。

時間的にゆとりを持って参観に向かうことが多くなったせいだろうか、じっと仏像を見つめることも多くなりました。

静かな姿、力感の籠った姿、叱咤するような姿、思索的な姿、実に様々なものと出会います。

じっと見つめているうちに、不可思議な魅力を感じるようになりましたが、ふと考えてみると、仏像の魅力というのは、何なのだろうかと考えたりしてしまいます。

仏像はそのご利益を象徴する特徴はあらわされているのですが、基本的には、みな抽象的です。

どんな姿をしていても、じっと見つめていると、細かなところが同課などいう興味は薄れて行ってしまいます。そしていつか仏像が醸し出す雰囲気の中に惹きつけられていってしまいます。

慌ただしく動く観光客は別として、地元の人とか、特にその仏像に興味を持って訪ねてくる人を見かけますが、長い時間じっと仏像を見つめたまま動かなくなるようです。

それだけ仏像が醸し出す雰囲気の中に浸りきっていくのです。

そんな姿を、いくつも目撃していくうちに、何がそうさせるのかということを、考えるようになりました。

そしていつの間にか感じ取ったのは、仏様は具象ではなく抽象だということです。

だからこそいつの時代、いつの人にも通じる魅力を醸し出せるのだと感じるようになりました。

手を合わせて拝んでいるうちに、自分の心を写しているような気持ちになっていきます。

仏像は具体ではなく抽象だからこそ、人を引き付けて離さないのだと思うようになりました。

ご利益などと言っても判らない外国人が、仏像に惹かれるのは、やはりその抽象性のためだとも思うようになったのでした。

あなたはどう感じるでしょうか☆