知る世界 「桂川日記」(30)「楽しみな風物」
京都へ通うようになってから、何が楽しいかというと、とにかくさまざまな年中行事が、すっかり生活の中に根付いていて、絶えず行われているということでしょう。そしてそれを、ごく日常的なこととして楽しむという習慣が定着しているということです。
東京では日本各地から仕事をする人が集まって来るので 、それらの人々は、そうした楽しみは、それぞれ故郷に持っています。そのために、所謂東京人と言える人はそれほど多くないので、東京独自の年中行事を楽しむといっても、かなり限られてしまっているのです。そのためにそれぞれの行事は、限られたものしか熱中するものがありません。
そういったことを考えると、京都という地方の一都市は、東京のように時代の流れに押し流されるようなこともなく、 京都特有の生活文化を守り、育ててくることが、出来たわけです。昨今、盛んに古都京都と持て囃されていますが、それは、あまり時代の流れに押し流されないで、独自の生活を守りつづけてきたことによるのだということなのです。
京都へ通うようになってから、たまたま機会に恵まれて、楽しむことが出来たものを、カメラに収めました。
「葵祭り」「納涼床」「祇園祭り」「先斗町の夏」「南座のお書き上げ」等々、それを目にすると、このところ大都会ではかなり希薄になって来ている季節感というものも、気付かされたりいたします。
京都のこうした楽しめる風物には、ほとんど季節と密接にかかわっていることが判ります。
まだまだ食べ物に関しても、季節によって、それぞれの店が工夫をこらして発売します。
地球の温暖化ということにも関係することですが、この季節感の喪失ということは、わたしたちの生活感覚の変化によるとは言えないものがあります。
季節が徐々に入れ替わって行く、微妙な変化に、敏感に反応して、日本人は大変ユニークな風物や伝統行事を生み出してきました。
そういった風習がどんどん失われて行きます。
そんな中でこうした季節と共にある年中行事を沢山持っている京都というところは、実に羨ましいなと思います。
先日は祇園祭りの時に、その日にしか発売しないという菓子をお送り頂きました。役小角に関係のあるお菓子ということでおくって下さったのですが、柚子味噌が美味しくて、大変気に入りました。
京都というところには、その月だけとか、こうしてその日だけ限定で発売するというものも沢山あります。それも季節、季節を楽しもうという生活感なのだと思います。
これからも、まだまだ沢山こうした風景に出会うことでしょう。それを楽しみにしていきたいと思います☆