知る世界 「桂川日記」(36)「神事とサラブレッド」

最近は祭の神輿を担ぐ者が少なくなってしまって、いわゆるその神社の氏子だけで賄うことが、大変難しくなってきています。

伝統的な行事を維持していくためにも、神輿など担ぎ手を集めなくてはなりません。それでも人気のある神社、寺の場合であれば、その神輿を担ぎたいという申し出がかなりあるように訊いています。

ところがそれほど著明な神社、寺院の場合では、伝統行事も維持することが出来なくなってきています。

人口の移動がその大きな原因になっていると思うのですが、こうした状態は、これからもずっとつづいて行くことでしょう。

実は今年五月五日の京都上賀茂神社で行われた、「競馬」(きそいうま)という伝統行事を拝観する機会に恵まれました。

解説によりますと、これは陰陽道によるものらしく、従って平安京になってから行われてきたもののようでしたが、赤の衣装、黒の衣装騎手が乗った馬二頭で走りました。

その時に知ったことですが、走る馬にサラブレットがいたということです。ちょっと前には、どちらかの競馬場で走っていた競走馬が神事の馬場で走っているのです。いささか興趣を削いでしまいます。

これでははじめから勝負ははっきりとし過ぎています。

やはり古代からの神事を行う時ぐらいは、このような特殊なところで働いていた馬は使わないと言う配慮が必要なのではないかと思います。さすがにサラブレットは速く、あっという間に視界から去ってしまいました。神事の場合はその勝ち負けが大事なことなので、はじめから結果が判っているのでは意味が違ってきます。

今回は思いがけない光景に出合ったので書いておくことにいたしました☆

上賀茂神社大鳥居の写真
競馬の写真
勝負判定の写真