知る世界 「桂川日記」(50)「伊勢探訪」

伊勢というと、通常は伊勢神宮のことだろうと思いますが、目下のところ、ある本のための取材中で、伊勢斎宮の博物館のある伊勢の斎宮というところまで行ってきました。

飛鳥時代よりも前からあったというのですが、記録に乗っているのは、天武天皇の皇女で、大津皇子の姉にあたる大伯皇女がはじめてと言っていいでしょう。壬申の乱の起こったあたりから、天皇の指示によって、伊勢の神に加護を祈願に送られたのが始まりのように思います。

それから代々、卜定された皇女たちが、都を離れて伊勢の斎宮まで、旅をして送り込まれていたのです。行く前も、行ってからも、いろいろな決まりがあって、皇女たちには、かなり辛い務めだったように思います。

特急電車を乗り継いで、田園地帯を走り、実に静かな佇まいのところへやってきました。

都のあった京都からもかなり離れた田園地帯です。

伊勢神宮からも16キロも離れたところに、かつて斎宮の御所が置かれていたところです。

斎宮というのは、天皇の意志に基づいて、国の安穏を伊勢の神に祈願するために、皇女が神の御杖代として送られ、ここに作られた斎宮御所で祈りのために住んだのです。

彼女たちは、天皇が交代する時、その他の大きなことがあった時以外は、いつまででもここにいることになっていました。 何と言っても、都で華やかな暮らしをしていた皇女たちです。早く帰りたいと思っていたでしょう。

現在は広大な敷地に博物館が建てられています。

駅からは現在ロマン公園となっている敷地の中に、かつて御所があったと思われるところあたりに、「斎宮」という看板が建てられていて、すぐに判るのですが、はるか古代を思うと、あの頃は実に寂しいところで、夜などはまさに漆黒の闇が、あたりを支配していたと思われます。

斎宮の中には、精神的におかしな状態になってしまった人もいたようで、闇の中に怪しいものを見たりしたようです。そんなことを完げながら、機会があったら行ってみるといいですね☆

斎宮址の写真
斎宮博物館の写真
斎宮御所の写真