知る世界 「旅雑記」(9)「軽井沢のイルミネーション」

今は冬の真っ只中の軽井沢ですから、雪も降っていることでしょう。夏とはがらりと違った姿を見せているだろうと思うのですが、今回は、所謂旅行らしい旅行のお話にはならないのですが、昨年末のある日、一泊で軽井沢の冬を味わってこようと言う、親族の誘いに乗って自動車に便乗して出かけました。

昨今、軽井沢でもイルミネーションをやっているらしいという話が伝わってきていたので、冬の風物詩として、見ておくのもいいのではないかというので、様子を見に行ってみようということになったわけです。

東京のような大都会のそれは見慣れていますが、それがどうも昨今は、あまり楽しめなくなってきています。それというのも、ささやかに楽しんでいて、はじめて微笑ましい安らぎを味わえるはずの家庭でのイルミネーションが、町で見かける大掛かりなそれに負けまいとしているかのように、年々派手で豪華になってきていますし、我も我もと、隣り近所で競い合うようにもなってきているのを見聞きします。一体これは、どいうことなのでしょうか。

それぞれ家庭でイルミネーションを楽しんでいるうちは良かったのですが、流行というものは恐ろしいもので、素朴でいいものが、次第に派手に、ゴージャスになっていきます。中には当事者があまり真剣になりすぎて、悲壮な様子になっている報道もあり、いささかうんざりとしてしまうことが多くなってきていて愕然としてしまいます。

本人が目立ちたがりであるということは間違いありませんが、そのために家族が大変な迷惑を蒙っているというケースが紹介されたりして、お気の毒だなと思っていましたが、ご近所の方はもちろんのこと、評判を聞きつけてあちこちから見物する者が現れてしまうために、それを作っている張本人まで、引っ込みがつかなくて、いやいや作らざるを得なくなってしまっている人もいて、あまりにも情けなくなってしまいます。

時の勢いと言うものは恐ろしいもので、止めようもなくなってしまうもののようです。

今回わざわざ軽井沢まで行ってみようと思ったのは、或る意図があったからなのです。

果たして避暑地として著名なこの地では、どんなイルミネーションをしているのだろうかという興味があったのです。

もちろんわたしは毎年ここへ来て、一ヶ月ほど過ごしているので、ほとんどのことは判っているのですが、冬は引き上げてきていますから、出かけるチャンスを失っていたのです。そこにイルミネーションという話が、持ち込まれてきたのです。

どうしても野次馬根性だけは抑え切れなくなってしまいました。

直ちに親族の誘いに乗ってしまったと言うわけです。

きっと雪の中で見るイルミネーションは、綺麗だろうなと楽しみにして行ったのですが、まだ十二月初旬ということだったので、残念ながらその理想的な風景とはなりませんでした。

しかし闇が濃くなるのを待ってタクシーをチャーターして、通常ホテルのサービスで回るような、大きなところだけではなくて、個人的にそれを楽しんでいるようなところまで回ってもらいました。

そこでわたしは大発見をしたのです。都会のイルミネーションを見慣れていたところだったので、却ってここのそれのほうが、シンプルではあるけれども、新鮮であるように思えたことでした。もちろんこれから先、洗練されたものができるようになるかもしれません。それはそれでどれだけ楽しいかとは思うのですが、しかし決してゴウジャスを競ったり 、誇るようなものにはなってほしくはないと思うのです。

各地の伝統的な行事が、近年観光客誘致のために、年々派手やかで、豪華になってきているのは残念です。そのために素朴であり、粗野であるからこそいいものが、どんどんその味わいを失っていきつつあります。

その行事が起こった本来の意味も、まったく判らなくなってしまっているものも多いのではないでしょうか・・・。

これも時代の変化と言うものなのでしょうか・・・。

日本各地で、伝統的に伝えられてきたものが、変質しないで残されていくように祈りたいものなのですが・・・。こんなことを考えているのは、わたしだけでしょうか・・・。

わたしはまたあちこちへ行って、いろいろな出会いをしてみたいと思っているところです☆

軽井沢のイルミネーション写真 その1
軽井沢のイルミネーション写真 その2
軽井沢のイルミネーション写真 その3
軽井沢のイルミネーション写真 その4
軽井沢のイルミネーション写真 その5
軽井沢のイルミネーション写真 その6