知る世界 「旅雑記」(23)「筑波山探訪」

秋の二日でした。

高校時代の友人たちで、クラス会の他に気の合う友人たちで作っている交歓会があるのですが、これまで仕事の関係で、なかなか参加できなかったのですが、ようやくチャンスを見つけたので、久し振りの旧友との対面を楽しみにして参加することになりました。

東京の下町の高校の仲間たちで、今はほとんど地元の高校に近いところには住んでいる者はいなくなってしまいました。皆に散りじりなってしまうのは惜しいと、こうして出会う機会を作っているのですが、今回は女性の参加者がなかったものの、参加者は十数名にもなり、茨城県のガマの油で有名な、筑波山を一泊で探索しようということになりました。ここはわりに近いところにあるのですが、改めて行ってみるかというと、なぜか敬遠しがちで、これまであまり行った者が少なく、幹事の提案に、すぐさま賛成して、参加申し込みをしたのでした。

秋葉原から、最近開通したTX・・・つくばエクスプレスで行くことになりましたが、こうした交通機関の発達のためでしょうか、電車はほぼ十五分おきに出ていて、通勤にも便利なところから、朝のラッシュ時の混雑ぶりは、想像を超えたものがありました。

かつては単なる田園地帯であったところが、どんどん開発されて、住宅地となり、通勤客が増えて行ったのでしょう。 電車の窓外を見つめていると、東京からかなり離れた郊外へと、住宅地が広がってきているのが判りました。

もちろん終点は「つくば学園都市」です。つくば大学の拠点ですが、その開発された土地は大変な規模で、改めてバスで通過していく時に見ていましたが、実に広大な規模の施設だと、一同感心してしまいました。

宿になるホテルは、山の麓ということもあって、ここからさらに一時間弱ほど野って行かなくてはなりませんでした。

男体山、女体山という二つの山からなるところの、女体山の麓のホテルに宿泊して、久し振りの旧交を温めたのでした。

年齢のせいでしょうか、わたしは早くから起きてしまい、外へ出てみましたが、その夜明けの素晴らしさは、山地でないと見られないすがすがしく、清冽な光景でした。雲海の中から日輪が昇って行く瞬間は、言いようのない美しさで、昨夜遅くまで酒を楽しんでいたために、まだ寝ている友人たちに知らせてやりたいくらいでした。

やがてそこからケーブルで、紅葉の女体山の頂上へ行ったり、お隣の男体山のケーブルで頂上へ行ったりしたのですが、毎月ここの登山をしているという友人の提案で、そのお鉢周りをしようということになりましたが、さすがにこれは、「大したことはない」という友人の言葉に騙されたようで、ほとんどの人は息を切らせてしまいました。もちろん私もその一人ではあったのですが、とにかくかなりいいペースで目的を達成することができました。

そんな中で、注目すべきことがありました。

この中にはスモーカーが二人いたのですが、彼らの様子を見るにつけて、かつての自分の姿を重ねて思い出してしまいました。とにかくああした山登りのような苦しいことに挑む時は、その結果が跳ね返ってくるもので、かなり苦しそうでありました。彼らは食事の時も、歓談の時も、乗り物を待つ間も、とにかく我慢が出来なくて、友人たちから離れて喫煙しなくてはならないのでした。この光景は、かつて飛行機などに乗った時に、到着するのを待ちかねて、同志と共に空港ロビーの喫煙所へ脱兎のごとく走ったことを、思い出してしまったのでした。ストレスとヘビースモーカーのために、脳梗塞で倒れた経験がある私は、快復すると同時に禁煙に挑戦。一か月の苦闘の末に禁煙派に転向することに成功しましたが、あの友人たちの姿を見るにつけ、よかったと思うのでした。旅行のお話から、昔の喫煙時代の話にまで広がってしまいました。

とにかく収穫の多い二日間でした。

秋はますます深く、もうこの原稿が公開される頃は、冬に突入してしまいますね☆

筑波の夜明けの写真
お鉢めぐりの写真
絵本のような紅葉の写真
気の毒な二人の写真