知る世界 「旅雑記」(25)「町の片隅に歴史あり」2

ふと自由な時間ができた時、普段ほとんど思いつかないようなところへ行ってみようかと思ったりすることがあります。

テレビのワイドショーなどで、度々話題になるところなどがその一つです。

あなたの年齢によりますが、巣鴨のお爺ちゃんとお婆ちゃんの巣鴨はそのひとではないでしょうか。

一体そこに何があるのかというと、それがはっきりといたしません。敢えて目標を上げるとすれば、その通りの一角にある「とげぬき地蔵」で有名な「高岩寺」というところでしょうか。 このお地蔵さんが延命地蔵菩薩といわれているところから、お年寄りが集まって来るのでしょうか。それにしてもその商店街へ集まる人が多すぎるように思います。

ここのお地蔵さんのお身拭いをすると、体を患わないでいられるというご利益があるとはいっても、この商店街へ来る人が、すべてお地蔵さんへの信仰があるからとは、言えないでしょう。もちろんついでにお参りということはあるでしょうが、やはり何といっても、あそこへお爺ちゃん、お婆ちゃんが集まるのは、あそこへ行くと、同じような年齢の人が沢山いるというので、安心感があるのではないだろうか。

それで、ついつい行ってしまうということなのかもしれません。特別、シニヤに向けたファッションが素晴らしいとか、安いという訳でもないし、食べ物にしても、ここにしか売っていない、特別なものが売られているわけでもないのです。

それなのに人が集まって来てしまうのは、やはりテレビの話題の一つとして紹介されたことがきっかけなのでしょう。こうなると噂が噂を生んで、なぜか人が集まって来る話題の場所となってしまったわけです。

そんなわけで、私も報道で知ってはいたのですが、それだからといって、特に行ってみようとは思ってもみませんでした。 それがある日のことです。

「あそこへ行ってみようか」

家内を誘ってみました。

もちろん彼女は、私の気まぐれな提案には、何か訳があるのだろうと思ったのでしょう。すぐに同行してくれることになりました。

そんな気まぐれな散策の間に、思いがけない収穫というものがあるものです。その一つが、歴史の発見というものでした。

実は、「巣鴨地蔵通商店街」の近くに、何か目ぼしいものはないかと、インターネットで調べたところ・・・ありました。この近くに「染井霊園」というところがあったのです。

この染井というところは、霊園としてだけでなく、染井吉野という桜の種類の命名の基になった染井なのです。きっとここへ行けば、いろいろな人の墓が発見できるだろう。よしここへ行こう。という気持ちで、出かけたのです。

JR田端駅で下車したついでなので、お爺ちゃん、お婆ちゃんの原宿も歩いてみることにしたわけです。もちろんみなさんが集まる高岩寺へも参拝して、道路を越えたところにある染井霊園へ向かったのでした。

予想道理に著名人の墓が、たやすく見つかりました。 あまり呆気なく見つかってしまうので、やっと見つけたというような感動がないくらいでしたが、ここに隣接した本妙寺にも足を延ばしてみました。

ここには、歴史的な銅版画家の司馬江漢や、芸術家や、言わんば大衆的に認知されている作家や、人気のあった作家・・・谷崎潤一郎、芥川龍之介などという作家の墓も、次々と発見できましたし、それ以外に、囲碁の棋士として頂点に立つ、歴代の法因坊の墓があったりしましたが、異色だったのは、剣豪千葉周作や桜吹雪の入れ墨でお馴染みの江戸町奉行の遠山金四郎の墓があったり、恋人と会いたいばかりに火つけをしてしまって、江戸中が火に包まれてしまった、振袖火事の犯人、八百屋お七と犠牲者たちの霊を慰める、振袖火事の供養塔にも出会うことができます。 本妙寺へ行くと、江戸、明治、大小、昭和という歴史の出会え、いろいろと想像が楽しめるような気がいたします☆

本妙寺門前の写真
明暦振袖火事供養碑の写真
千葉周作墓の写真
遠山金四郎墓の写真