知る世界 「旅雑記」(34)「もう一つの月読神社」

月読命と言えば、「古事記」によれば、天照大神と、須佐男命と共に、三貴神と言われる存在で、我々が空を見上げた時に御目にかかるお月さまを統治している神として、よく知られている方です。

月の好きなわたしとしては、無関心ではいられない存在なのですが、目下、月の美しい京都ということで、原稿を執筆していることもあって、京都のあちこちを探索中なのですが、思いがけないことで、もう一つの「月読神社」と遭遇したのです。

わたしはここを、本来の月読神社だと思い込んで、近くの「松尾大社」を参拝した時に、何度か訪ねては行っていたのですが、実はこの「月読神社」は、本来の日本の神の歴史には登場しない、古代の氏族である秦氏が祀っている月読命を祀ってあるのです。 そう言えばあの松尾大社も、秦氏の氏神を祀っている神社です。 このあたりは秦氏が彼らの拠点として、勢力を誇っていたところです。そこに、彼らの考える月読命があって、神社を祀るということがあっても、おかしくはありません。

正確にいいますと、もともと壱岐島に祀られていた神だったのですが、古代に朝鮮半島へ使者として送られた貴人が、壱岐島で月読命が乗り移ったということから、天皇にそのことを奏上したことから、やがて秦氏によって、ここに祀られるようになったというのです。そんなことを考えると、どうも朝鮮半島と関わりがあるのではないかと思われるのですが、どうでしょうか。

古代のことに関しては、さまざまな不可思議な伝承が多く残されているので、京都のような古い歴史を残し、伝えているところを訪ねると、大変興味深いところに出会うことがあります。

あなたも、もう一つの「月読神社」を探して探索してみては如何でしょうか。

歴史探索では、こうした謎に巡り合ったことをきっかけにして、また新たな旅に出かけるということが楽しいように思えるのです。年が明けたら、どうぞ、新たな謎の探訪のための旅に御出掛になってはどうでしょうか・・・☆

秦・月読神社の写真