知る世界 「旅雑記」(49)「飛鳥再訪」

実に30年ぶりに飛鳥を訪ねました。

大河小説「宇宙皇子」の舞台であったところで、若い頃、何度も何度もやって来て、主人公が活躍する場を決めていった、原点の場でした。

あの頃は出版社のハイヤーで走り回っていました。

一日、8時間も駆け巡っていたのですから。

しかし今回は、まったく違った状態の訪問になりました。

奈良、京都、伊勢とまたがったものを書く予定ができたこともあって、何の約束もなく、自分の都合でやって来たのです。

近鉄を乗り継ぎながら、吉野の宮滝遺跡へやって来たのですが、いわゆる古代ブームが過ぎ去ってしまったのでしょうか、街道にはほとんど人の姿を見ることもありませんでした。

目標の宮滝遺跡の確認をしたかったのですが、大体どこでも、土地の人にとっては、古代の歴史には関心がないようで、遺跡の前にある郵便局で確認したのでした。

私も25年ぶりなので、記憶に怪しいところもありましたが、遺跡のあたりについては、ほとんど昔のままでした。

そこから見る象山(きさやま)もしみじみ眺めました。

歴史で伝えるところでは、近江にいる娘の十市皇女が、鮎の腹に近江軍が動いたという密書を忍ばせて、この宮滝の大海人皇子へ知らせてきたということで、思いも新たに眺めました。

ただ残念だったのは、遺跡の脇を流れる清流が、大分水が涸れていて、豊かな水の流れと宮滝遺跡というイメージが、薄らいでしまいました。

近くには吉野古代歴史博物館もありますが、参観者が少ない季節は、突然行ったりすると、閉館していることがあるので、要注意かもしれません。

今年はこうして、これまで駆け足で取材していたところを、じっくりと再訪する機会が増えるのかなと思います。

かつてとは違った環境で、じっくりと書いていきたいものが、いくつかあるので、それを残していきたいなと思っているところです。

また、そのうち伊勢の「斎宮博物館」へ行った時のお話もする機会があると思います☆

宮滝遺跡碑の写真
宮滝離宮址の写真
象山の写真
吉野歴史博物館の写真