知る世界 「旅雑記」(51)「嵯峨野散策」

私の奉職している大学が、嵯峨野にあるためか、いつも見慣れてしまった風景で、わざわざ訪ねて言ってみようという気持ちにはなり難いのですが、昨年の秋ですが、思いきって嵯峨野周辺を歩いてみようという気持ちになりました。

東京でも地元にいろいろと珍しいところがあっても、意向と思えばいつでも行けるからということで、ついつい行きそびれてしまうことが多いのですが、京都でも意外なことを聞きました。

「京都人の京都知らず」ということです。きっと東京でも言われる諺、「紺屋の白袴」というものでしょう。

改めてゆったりと歩いていると、いろいろと思いがけない光景に出会います。俳人去来の庵であった「落柿舎」には観光客が溢れているのですが、その隣にある、平安京の初代斎王であった、嵯峨天皇の皇女「有智子内親王」の墓には、まったく興味を示す人はなくて、行き過ぎてしまいます。歴史といっても「祇王寺」「滝口寺」といった観光宣伝に出て来る、「平家物語」ゆかりのところには人が集まります。

同じようなことでいうと、かつて伊勢の斎宮に決まった人は、ここで潔斎して旅立ったという「野宮神社」などは、私が小説の取材に出かけた頃は、ほとんど人気が有りませんですたが、近頃は本来の役割とは関係のない観光宣伝が行われているのか、中学生男女の参拝者がどっと押しかけているといった状態で、一体彼らは、何を目的でやって来るのだろうかと、不可思議に思ったほどでした☆

石嵯峨野への道の写真
野宮神社前の写真
有智子内親王墓の写真
落柿舎の写真
常寂光寺の写真