知る世界 「旅雑記」(53)「歩くことの余禄」

今年は京都を離れて、大分遠くまで取材に出かけましたが、伊勢神宮取材のついでに、鳥羽水族館へ行ってみることにいたしました。

大分前に親族と一緒に行ったことがあったのですが、再び行く機会があったので、駅から徒歩で歩いて行くことにしました。かつて案内してくれるものが自動車で連れていってくれたのですが、やはり歩かないと、思わぬ発見を見逃してしまうことになると、思いました。

実は、左に海、右に街路と山を見ながら歩いていると、 そこに思わぬものを発見しました。

九鬼城の跡があったことです。

多少歴史の好きな人であったらもうぴーんと来たでしょう。

村上水軍と対立した九鬼水軍の拠点が、ここの道路を隔てた山にあったのです。自動車で走ってしまうと、あっという間に行き過ぎてしまうのですが、ゆっくりと歩きながら、あたりを眺めていると、思わぬ収穫があるものです。九鬼の家紋を記した標識が、その山の入り口に掲げられていたのです。

九鬼はここに白を構えていて、眼下の海を通る船から、税を徴収していたらしいのです。

毛利に着いた四国の村上水軍と豊臣に着いた九鬼水軍の話は、かつて、和歌山の那智大社へ窺がった時に、先祖が九鬼水軍であったという宮司さんから、九鬼水軍が如何に強かったという話を聞かされたことがありましたが、そんな話が鳥羽の散策によって、つながってしまいました。

歩くということは大事ですね。

九鬼水軍は、こういうところからも財を得ていたのでしょう。にいずれにしても、村上も九鬼も、水軍といえば聞こえはいいのですが、海賊であったと思われます。こうした海に近いところに城をかまえて海路を監視して通行税を集めていたのだなということを実感いたしました。

正に歩く収穫でした☆

鳥羽駅前の写真
九鬼城入口の写真
九鬼城址の写真