楽しむ世界 Faile(30)「ひとくち古代史考」(霊山)

旅行をした時に、よく出会うことですが、ちょっと田舎へ行くと、近くの山に、霊山といわれるところが、必ず存在しているのに気がつくでしょう。

一体、この霊山という名称は、どこから起こったのでしょう。

もちろん有名な修行者が開いて、寺を創建した縁でそんな呼び方をする場合が多いと思いますが、わたしはもっとそれより前のことを考えました。

わたしの小さな頃の、昔のことですが、遊んでいた子供たちは夕方になると、

♪カラスが鳴くからかーえろ

などと歌いながら家へ帰って行ったものです。

カラスばかりでなく、鳥たちは山のほうへ帰って行きました。

最近は開発が進みすぎてしまって、鳥たちが山へ帰っていく光景には出会わなくなってしまいましたが、昔、昔、古代という時代には、人の死後、天国へ送る形としては、水葬、、風葬、土葬、火葬、いろいろとありましたが、水葬と共にもっとも古典的な方法としては、風葬につうじることなのですが、鳥葬というものがありました。

つまり、死者をあるところに放置しておくのですが、やがてそれを鳥たちがついばんでいくことになります。

その鳥たちは、今も昔も変わりません。

山へ・・・木のあるところへ戻って行くのです。

つまり死者の魂を運んで行くのです。

もうお判りになったでしょう。

霊山という言葉の原点というのは、人の魂を運んで行くところが山だったところから、すべての山は聖なる霊山だったはずなのです。

その後修行者によって開かれた山を、霊山と呼ぶようにったものとは違いますが、すでに鳥葬という風習が失せた現代では、もうほとんど考えられない言葉でもあります。どうか、時には、こうした言葉の起源というようなものも追ってみるのも面白いのではありませんか☆