楽しむ世界 Faile(39)「ひとくち古代史考」(月代)

時代劇をご覧になる方は、ほとんど知っていらっしゃると思うのですが、武士は月代(さかやき)という髪型をしていました。

兜などを脱ぐと、額の生え際を左右共に半月風に剃り上げているところがあります。それはやがて江戸時代の町人にも行われるようになり、成人のしるしになったものなのです。この髪形を「さかやき」と呼ばれるのですが、それは「月代」と書くのです。それは両額を剃り込んだ形が半月状になっているからなのです。

つまり月の精霊が寄るところ、つまり依代のことで、やはり最初は武士が月の霊威を頂いて戦いに赴いたからです。そういえば兜にも左右に半月状の角が出ているものが多いですね。しかし始めは烏帽子を被るのに都合がいいとか、兜を被るのにいいとか言われていたのですが、やはり目的は月の精霊の依代ということのほうが正解でしょう。しかし最近は月を話題にすることがほとんどなくなってしまいましたが、闇を失った結果でしょうか。間もなく月の季節がやってきます。せめて束の間でも空を見上げてみて下さい。きっと何か感じることがあると思います。

この月を尊重するということについては、大変説明を要しますから省きますが、海賊と言われていた倭寇の船にも、その旗印に「八幡大菩薩」と書いてある神号の上に、半月が描かれていたのです。やはり、月の威力を受けて戦うつもりだったのでしょう。

昔は何かにつけて、こうしたことによりどころを求めていたのでしょうが、頭髪をすべて剃ったものを満月とするならば、二つの半月の形は月だということになって、さかやき・・・月代ということになるわけです。そろそろ月の季節がやってきます。ちょっとした話題にはなるのではないでしょうか☆