読む世界 Faile(22)「世界四大発明について」

北京オリンピックは、もういつのころ行われたのかと思うほど、時の流れの速さには驚くのですが、ごく最近のことなのですが、あることで、もう一度思い出さざるをえないようなことが起こって来ました。

著作権という問題です。

今夏行われた北京オリンピックは、何らかの形で見た人が多かったのではないかと思いますが、開会式で目立ったことは、世界の四大発明の原点は中国であるということを強調したことでした。

どうしてそんなことを強調しなくてはならないのかと、改めて考えるきっかけとなってしまいましたが、あれだけ自己主張するということは、よほどの自信があってのことだと思いますが、しかし・・・あれだけ著作権を声高に主張するのであれば、それだけのことをしているのだろうかと、思わず点検してみたくなってしまいました。

もうあなたも、充分にその理由については、判っていらっしゃるでしょう。ごく最近のことでしたが、デズニーのキャラクターが、まるで似つかわしくない、情けない形で模倣され・・・いやな言い方をすれば、パクった形で公のテーマパークへ登場してしまったことが報道されました。その他にも外国で創造されたキャラクターが、大胆にもびっくりするような情けない形で、次々と模倣されて使用されてしまい、大きな話題になりました。それに対して中国は必死で弁明するのですが、とても聞いていられないような滅茶苦茶ぶりでした。各方面からの抗議にも、しばらくまるで彼らの行為を正当化するような主張をしていましたが、流石に無理があることに気がついたのでしょう。次々とイミテーションは影を潜めていってしまいました。

彼らには、著作権というものに対する認識は、まったくなかったのでしょう。この他にも、時計、ファッションなどというものの偽物が、次々と制作されて発売される市場が存在するほどですから、あの著作権侵害などということは、まったく気にもしなかったに違いありません。真似でも何でも、利用できるものは、何でも利用してしまえという精神です。これまではそうした傍若無人ぶりが、大手を振って横行していたのですが、それがこの21世紀にも通用すると思っていたところが、如何にも前近代的で、社会がまだ未成熟であることを露呈してしまったように思います。

しかしあのようなオリンピックのような場で、大々的に中国の著作権を主張したのですから、世界のトップに立つ気概があるのであれば、まずこうした国際的なルールを守っていく姿勢をはっきりとしていかないといけないでしょう。こうしたことを特に気になって書くことになったのは、実は最近、私の小説の出版、映像化という話が持ち上がったからなのです。私たちにとって、絶対に無視することのできない著作権というものを、きちんと守ってくれることが条件で、交渉の開始を承知したところだからでした。

ところがです。

代理人が中国へ戻って調べたところ、今回翻訳出版の候補になった作品の他に、すでに出版されているものがあるという知らせが入ったのです。もちろんこれは海賊版というもので、違法です。わたしは「日本文芸作家協会」に著作物の権利を許諾しているので、そこから何の連絡もないということは、当然のことですが、協会の許可を受けずに出版しているということになります。

こんなことで、世界の大国などと胸を張ることができるでしょうか。まず人の権利をきちんと守れるし、尊重しなくてはならないということを確認して貰いたいものです。どうも中国は、そうした国内のレベルがトトのはない内に、オリンピックというような大きなイベントを行い、そこで大言壮語してしまうというみっともないことをしてしまったように思えてなりません☆