読む世界 Faile(27)「読む」

昨今、電車の中の風景が、すっかり変わりました。

最近は自動車を使わずに、バス、電車を利用して移動することが多くなりましたので、かつて激しく仕事をこなしていた頃は、タクシーを使うか、出版社からの差し回しの自動車での移動だったので、ほとんど乗り物の中での、乗客の様子を知る機会はありまあせんでした。

それが最近は、あまりせせこましい仕事はしていませんから、可能なかぎり、ゆっくり移動することにしています。タクシーも使いません。そんな訳で、バス、電車での乗客の様子を、じっくりと観察することができるようになりました。

私たちの若かった頃は、ほとんどの人が移動のために乗り物を使っていましたが、ほとんどの人が、黙って目的地まで立っているか、座っていました。中にはその時間を利用して、座席に座っている場合は、お勤めの人の場合は週刊誌を読んでいるか、四六版の本・・・つまりハードカバーと言われるものか、文庫版の本を読んでいることが多かったと思います。もちろん学生は参考書を読んでいたり、英語の単語カードを見ていたりしていたものです。

ところがこの数十年の間に、そうした車内の風景はすっかり変わってしまいましたね。

第一段階は、図書を読む人から、携帯で電話を使うことが多くて、流石に乗り物の中での通話に関しては、顰蹙を買うことが多くなってしまって、禁止の呼びかけがあったりして、すくなくなりました。さらに心臓に障害のある人が、体に埋め込んでいるペースメーカーに影響を及ぼすというので、所謂、携帯電話の本来の使用者はなくなりました。ところがそれから暫くした頃から 、所謂ゲームが浸透してきて、それに夢中になる人が多くなってきました。それは現在でもほとんどの乗り物の中での光景になっていますが、そんな中で徐々に復活してきたのが「読む」者が増えてきたことです。

もちろん一番主流となっているのは、携帯電話を使ったゲームをする者で、男も女も、乗り物に乗った途端に携帯を出して始めますが、そんな中で珍しい読む人が復権してきたかと思うのですが、読んでいるものは、文芸物であったり、学習書であったりしたのは昔のことで、昨今はほとんど分厚いマンガ雑誌がほとんどになってしまいました。

しかもそのほとんどの「読む」人が、若い学生出会ったり、サラリーマンであったりしています。

その他の高齢の人の場合は、ほとんど活字のものを読んでいる人を見かけません。時々、スポーツ紙、経済紙を読む人はおりますが、いわゆる本の形態であるものと言えばマンガ雑誌が主流といっていいでしょう。

まさにマンガ全盛時代という風潮を象徴しています。

ちょっとした時間をつぶすには、ゲームをするか、マンガを読むことがほとんどです。

これが現代の姿なのだという風に受け止めています。

別に移動のための乗り物ですから、どのようにしてその時間を使おうと問題はありませんが、女性に化粧をしている者、時には食事をする者等を目撃したことがあるのですが、これだけはどうしても、許せない光景だなと思います。しかもそのほとんどが、女性であるのも愕然としてしまいます。

かつては絶対に見かけない光景です。

バスの中でも、携帯を持っているのはいいとして、熟年のおばさんが、マナーボタンをセットせずに乗っているばかりでなく、家の者と買物の報告を、大声でやっているのにも出会いました。

いささか女性群には、注意してもらいたいことが多くなったのも、時代なのだなと、つくづく思っているのですが・・・。今回は「読む」ということを書き始めたのですが、とうとう「読まない」人の話で終わりましたね☆