読む世界 Faile(35)「火車と汽車」

もう大分前のことですが、中国の北京、西安を取材にいった時の印象で、とにかくスローガンの多いところだなということを書いたことがありました。

漢字の国らしいものを感じました。

その中に含まれる言霊というものの効果を考えたものなのでしょう。

工場街はもちろんのこと、住宅街にも、路地という路地の塀、道の横断幕と、可能なところがあれば、どこにも威勢のいいスローガンが書かれて張り出されていました。

当時は文化大革命という、激動がようやく収まりかかったところでもあったので、余計にこういった傾向が強かったのかもしれませんが、いささかテンションガ高すぎて違和感を感じてしまったのですが、一緒に行った編集担当と町を探索していた時のことでした。

鉄道の踏切が出て来たのです。

そこの立て札に、こう書かれていました。

「小心、火車!」

つまり列車に注意ということなのです。確かに機関車は石炭を焚いては知っているのだから、火車に違いないなぁと、感心してしまいました。

ここで編集と話をしたのですが、それでは自動車は何と云うのかということだったのですが、直ぐに汽車といわれていることが判りました。

これにも感心してしまいました。確かの自動車はガソリンを気化して動くので、もっともだなと、感心しきって散策を終えたものでした。

今回は漢字の国中国ということを話題にして書いてみようとおもいましたので、威勢のいいスローガンの羅列から話が始まりましたが、汽車が火車、自動車が汽車という、日本人にとっては、いささか戸惑うような表現について、お話してみることにしました☆