読む世界 Faile(46)「思い出の豊田正子」
二月のある日の新聞の告知欄に、作家豊田正子さんの死棒記事が出ていました。
その記事を見た時、わたしは思わず少年時代に戻ってしまいました。
それには理由があります。
近所のお兄ちゃんが集めている「のらくろ」「冒険ダン吉」「ふくちゃん」などのマンガを見せて貰って、夢中になっていたある日のこと、父が豊田正子の「綴り方教室」を買ってきて、「これを読んでみろ」といいました。
きっと文学青年で、いろいろな文学全集を沢山書斎に持っていた父ですから、どうもマンガなどというものに夢中になっている私を心配して勝ってきたのでしょう。
その時に読んだ豊田さんの作文が、今の年齢になっても忘れずにいるのです。
それは彼女が同じような小学生であったことと、たしか縁日の夜店で、茶碗などを売っている親父さんの描写が、今でも甦って来るのです。
その中で親父が大きな茶わんを重ね合わせる時の状況でした。 記憶は不確かですが、じゃわん、じゃわんと音を立てながら、売っている様子が、あまりにも巧みに描かれていたので、凄いなぁと思ったものです。
とてもあの頃、彼女ほどの表現力は持ち合わせていませんでしたので、ある種の憧れに過ぎませんでしたが、何かものを書くということに、興味を持ち始めた始まりであったように思います 。少年時代の印象というものが、このように影響を強く与えるということがあるということを、お知らせしたかったのですが、あなたはどんなものに強い影響を受けたでしょうか。どんな思い出賀あるでしょうか。ふと、そんなことを訊いてみたくなりました☆