「風花」

 「かざはな」、と読むそうです。相米慎二監督で、KYON2もとい小泉今日子と浅野忠信の共演。何か評判が良いらしいという話と、まあ女優としてのKYON2とか結構いいかなとか思ったり、「地雷を踏んだら…」での浅野忠信に感銘を受けたりしていたので、観てみたわけです。先日観た「60セカンズ」も相当久しぶりの映画館だったのだけど、いやー日本映画……「東映マンガまつり」と「ガンダム」と「風の谷のナウシカ」は観に行ったけど、普通の日本映画を映画館で観たのはひょっとして生まれて初めてじゃないですかねえ。

 導入部でなかなかストーリーが掴めないのが日本映画に共通する困った点ですが、どうも浅野忠信扮する文部省(おお同僚か!)のキャリア官僚(けっ)が不祥事でフォーカスされちゃって謹慎処分となり、飲んだくれていたところをKYON2もとい小泉今日子演じる風俗嬢に出会う、という感じのようです。そして2人は成り行きで風俗嬢の故郷、北海道へと旅立ち、そこでいろいろな人と逢うといういわゆる「ロードムービー」系のあらすじです。

 浅野忠信はピシッとした髪型とスーツに伊達メガネという小奇麗な風体に愛想の無さで官僚っぽさを見事に出しつつ、酒を飲むと掌を返したように性格が変わって語り始めるというコミカルめな役柄を好演しています。一方の小泉今日子はというと、まあ普段の小泉っぽい演技かなと思いつつも、郷里の人々との衝突みたいな部分でさらに円熟味を増した重い雰囲気を出しているようです。何てったってアイドル --- じゃなくて、何てったって子持ちの役ですからねえ。年とともに着実にキャリアを積んでいるって感じでしょうか。この年代の女優って他にあんまりピンと来る人がいないので、なおさら期待されるところです。

 香山美子やら柄本明、鶴見辰吾、椎名桔平などがチョイ役で出てくる以外はひたすら2人だけで展開して、しかも舞台がほとんど北海道なものだから、本当に淡々としたストーリー展開です。それ自体はまあ良いのですが、ロードムービー的な話の割に肝心のロード部分がほとんど無いというか、せっかく北海道を舞台にしているのに北海道的な広々感が全然出てこなくて、点と点とをただ繋いでいくだけという感じなんですね。で、その割に点の部分でやたらと長く無言・無音のカットが多く、どうも間延びした印象があります。主演の2人がいい味出してるだけに、もう少しロード的な部分や軽快な部分にメリハリをつけてもよかったんじゃなかろうか、なんて思ったり。ま、個人的には映画に文句を付ける余裕など無い状態でしたがね(笑)

 謎だったのが、クライマックスでの小泉今日子の暗黒舞踏(?)。何を言わんとしているのだろう、などとついつい考え込んでしまったのですが、後で調べると相米監督って「台風クラブ」の人だったんですね。なるほど相米監督は踊りが好きなんだな、と納得してしまいました。


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