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イン・ディス・ワールド
In This World
★★★★★★★☆☆☆
2002年 イギリス
監督: マイケル・ウィンターボトム
出演: ジャマール・ウディン・トラビ / エナヤトゥーラ・ジュマディン / イムラン・パラチャ


☆こういう作品☆
 ソ連の侵攻により、パキスタンへと移住した多くのアフガン難民。その中の一人、16歳のジャマール(演
者名同じ)は、彼らにとって希望の地イギリスへの亡命を試みる従姉妹のエナヤット(エナヤトゥーラ)に同
行するが…。


☆こう観た☆
 本編上映前の字幕に関するテロップが示す通り、スクリーンの中で我々はジャマールと共に旅をする。
“希望”を求めてひたむきに目的地を目指す彼らの姿は、さながらアジア版“裸足の1500マイル”だ。
 物語は無駄な前フリなく唐突に6400キロの旅へと送り出される。言葉もろくに通じない中で周囲の手を
借り、時には利用されながらあの手この手で国境を越える方法を模索する。先の見えない絶望感、泣き
止まない赤子、衰弱していく身体…、トラックの荷台に閉じ込められた中で彼らの旅が過酷を極める時、
「貧しくても(パキスタンで)家族と暮らした方が幸せなのでは?」と出発前に漏らしたある身内の言葉が
痛烈に脳裏をよぎるのだ。それでもジャマールに引き返すという選択肢はなく、つぶらな瞳はまっすぐロン
ドンへ向いている。その強い思いは犯罪に手を染めるまでに至るが、彼らの苦労を見てきた筆者にそれを
叱ることはできない。彼の旅が終わりを告げ、エンドロール前のテロップを見るとき、残酷な現実に我々は
また落胆のため息をつく。
 彼らの疲労度を視覚的に感じるシーンに乏しいのが惜しいが、映画とは関係なく現実のジャマールの祈
りが神に届いて欲しい、そんな作品だ。
written on December 12, 2003


▽webサイト: こちらから


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▽ここで観た: 梅田ガーデンシネマ(大阪) 



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