![]() エレファント Elephant ★★★★★★☆☆☆☆ 2003年 アメリカ 監督:ガス・ヴァン・サント 出演:アレックス・フロスト / エリック・デューレン / ジョン・ロビンソン / イライアス・マッコネル ☆こういう作品☆ 若者たちがアメフトに興じるグラウンド、静かな図書室、賑やかな食堂、ゼミが行われている教室。すべ てはいつもと同じ高校の風景だった。アレックスとエリックが校内に乗り込んでくるまでは…。 ☆こう観た☆ マイケル・ムーア監督『ボウリング・フォー・コロンバイン』は、新規口座開設者に銃をプレゼントしている 銀行や銃を手放せない変人、果てはライフル協会会長宅も直撃し、アメリカ銃社会の実態の一端を暴い た熱いドキュメンタリーだった。あの痛ましいコロンバイン高校銃乱射事件を基にした本作をあまり観たく はなかったのだが、宿命付けられているのだろうと自分に言い聞かせて鑑賞に臨んだ。 映画は、事件までの淡々とした校舎内の風景を主に登場人物たちの背後から捉えている。あまりに無 防備な彼らの後ろ姿は、間もなく訪れる悲劇への緊張感をいやがうえにも増幅させる。個性バラバラな若 者たち。群像劇タッチにキャラクターに感情移入させることもできたのだろうが、ガス・ヴァン・サント監督は あえてそれをしない。彼らの行く末は今日までと決まっているからなのか…。犯人二人の大虐殺は、ゲー ム感覚で驚くほど痛みを感じさせない。日常のちょっとした憤りが殺人に変わりうる恐ろしい可能性を示唆 する。通信販売で簡単に銃が手に入ってしまう現実には改めて身震いする。 私は『ボウリング…』で感じた胸を打つ熱いものを求めていた。しかし本作はパルムドール受賞作らしい 終始冷めた空間で、感傷的な深追いはしない。そのギャップを埋められなかったのは残念だった。未消化 感の残るラストは、「ゲームはこれからもつづく」という解釈でいいのだろうか。
written on May 17, 2004
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