第5話
(GTOとの出会い)


彼の名はGTO(グレート・とんでもない・おにぎり)。

日本語訳すると、めっちゃとんでもないおにぎり。

彼の顔は威圧感があり、

彼の眼光は鋭い。

彼の口はちょっと隙間が空いていて

そのすきまから、いつも白い歯をちらっとのぞかせている。



そんな彼が帰ってきた。

彼は2年前、EO(偉いおにぎり)に

「おまえなんかどっか行ってしまえ!」

と言われ、しばらくどっかへ行っていた。

しかしEO(偉いおにぎり)がいなくなったので、帰ってきた。

EO(偉いおにぎり)がいない今、彼を邪魔するおにぎりはいない。

最近彼はいつも自分の席で起立している。

あたりを意味もなくキョロキョロ見回している。

何を警戒しているのだろうか?

EO(偉いおにぎり)が突然現れたりしないだろうかと、おびえてるのだろうか。


サラリーマン風おにぎりが、そんな彼に初めて出会ったのは6年前。

暑い夏の会議室。

お客様と打ち合わせをしている時だった。

ノックもせずに、会議室に入ってきた。

空いている席に黙って座った。

そして、恐い顔をして暫く話を聞いていた。

話に飽きたのだろうか、目を閉じて考え事を始めたようだ。

数分たって、考え事に飽きたのか、

今度は目を閉じたまま、コックリコックリ船をこぎだした。



「それって居眠り?」



そこにいた全員がそう思ったに違いない。

お客様との打ち合わせは終わった。




彼は一人、船をこぎ続けた。



(つづく)


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