彼の名はGTO(グレート・とんでもない・おにぎり)。
日本語訳すると、めっちゃとんでもないおにぎり。
彼の顔は威圧感があり、
彼の眼光は鋭い。
彼の口はちょっと隙間が空いていて
そのすきまから、いつも白い歯をちらっとのぞかせている。
そんな彼が帰ってきた。
彼は2年前、EO(偉いおにぎり)に
「おまえなんかどっか行ってしまえ!」
と言われ、しばらくどっかへ行っていた。
しかしEO(偉いおにぎり)がいなくなったので、帰ってきた。
EO(偉いおにぎり)がいない今、彼を邪魔するおにぎりはいない。
最近彼はいつも自分の席で起立している。
あたりを意味もなくキョロキョロ見回している。
何を警戒しているのだろうか?
EO(偉いおにぎり)が突然現れたりしないだろうかと、おびえてるのだろうか。
サラリーマン風おにぎりが、そんな彼に初めて出会ったのは6年前。
暑い夏の会議室。
お客様と打ち合わせをしている時だった。
ノックもせずに、会議室に入ってきた。
空いている席に黙って座った。
そして、恐い顔をして暫く話を聞いていた。
話に飽きたのだろうか、目を閉じて考え事を始めたようだ。
数分たって、考え事に飽きたのか、
今度は目を閉じたまま、コックリコックリ船をこぎだした。
「それって居眠り?」
そこにいた全員がそう思ったに違いない。
お客様との打ち合わせは終わった。
彼は一人、船をこぎ続けた。
(つづく)