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Rage Against The Machine | やっと分かった。 |
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■ 幕張メッセ - 6/24/00
幕張メッセ・・・・・展示会やモーターショーなどで使われるその広い会場は、パーティションで2つに区切られていた。そして各々がライヴスペースといわばまったりスペースとに分かれており、後者にはコインロッカー、グッズ売り場、喫煙所、食品売り場等が首尾よく整えられている。取り立てて広さは感じないが、これで2~3万人は収容できるというのだから驚きだ。ブロック分けもあったが、区切られているのは実質AブロックとBブロックだけだったようで、およそ5千~1万ほどの人数を各ブロックに振り分けていたようである。
・・・・しかし1ブロックにそれだけの人数をぶち込むとさすがに前方への負荷がかかってしまうのか、「1歩づつ下がってください。絶対に押さないで下さい。押さないで上に跳んでください。」というアナウンスが再三に渡って繰り返された。数万人規模のオールスタンディングギグで会場は妙な熱気を帯びており、奇声や歓声があちらこちらからランダムに飛び交い、猛烈な勢いでその輪が広がってゆく。
「最後のお願いです。前に押さないでください。上に跳んでください!」というアナウンスがなされた後、すぐに場内暗転してショーはスタート。ステージ後方には「Battle Of Tokyo」の垂れ幕が・・・・・。位置的にはどう考えても「Battle Of Chiba」でしょ?という疑問を挟む余地もなく、赤いTシャツを着たボーカルのザック・デ・ラ・六茶が「おういぇあーー! おういぇあーー!」といきなり客を煽りにかかる。そして「キック・アウト・ザ・ジャーームス!!」と叫んだので、「あれ? プライマル・スクリームと似てるなぁ・・・。」とか思っていたら本当にそうでした、MC5の「Kick Out The Jams」。なんとなくガソリンスタンドの兄ちゃんみたいな出で立ちのトム・モレロ(ギター)がシンプルなギターリフを重ね、毛を逆立てた野良猫のようにザックがマイクにかぶり付いて吠えると、恐らくこの曲を知る人達は少ないであろうのに、フロアーはもうどうにでもなれ状態。ゆえに起こるビッグウェーブがAブロックの前から後ろに至るまで覆い尽くして室温が急上昇。その高い体温に感化され、トム・モレロのジャンプ一番で「Bulls On Parade」へ雪崩れ込む。「待ってたよ!」とばかりに前へ押さずに上へジャンプ。そんな万人規模のポゴダンスを下手に見ながら、トム・モレロはギターの弦を指でこすってスクラッチ。早速、「バカ」という言葉が我が口から飛び出す。曲が終わるとペロっと帽子を脱ぎ、瞬時にしてタオルで頭の汗を拭い、そしてまた帽子を被り直す。
「Testify」「Guerrilla Radio」という反則モノの連続攻撃にフロアはもう一杯一杯。俺はまだまだ元気だったけど、ひとつ失敗したことがあって、バッグをコインロッカーに収めることが出来なくてとっても邪魔! 周りの迷惑にならないよう、そのバッグを胸に抱え込むようにして暴れてみるが、ただ単純に自分の体温の上昇を加速させているだけ。六角レンチを右手に持ったトム・モレロを見た瞬間、「来たぁ!!」と誰よりも早くこぶしを振り上げてギコギコ態勢万全の「People Of The Sun」でより熱く、暑くなってしまう。でも、演奏者側もそうだったのだけれど、この「People Of The Sun」よりもニューアルバムからの曲の方がフロアは元気だった。ってことはいよいよこの「People Of The Sun」も飽きられてきたのか?
「次の曲はブレッ・インニョヘッ。」というザック初めてのMCで「Bullet In The Head」へ。腹に響くようなベース音がブンブンと唸り、変幻自在のギター音がドラマティックな曲展開を盛り上げるが、演奏の出来と客の爆発ぶりは次の「Calm Like A Bomb」の方が上だった。どちらかといえば昔の曲よりも現在のそれの方にフロアー側の熱意が感じられたし、ザックとトムのジャンプの頻度と高さにも完全な差があった。見た目上の盛り上がりは「Know Your Enemy」の方が確かにすごかったけど、印象として残っているのは「Born Of A Broken Man」のアルバム以上のダイナミズムだったり、美しいアルペジオから突如として単純明快炸裂リフに切り込んだ「Sleep Now In The Fire」という絶叫の塊によって潰れたザックの声だったりした。
ベースのティムの方に歩み寄るトムを見ながら、そのイントロが流れることを誰よりも早く察知した「Bombtrack」。硬軟織り交ぜたドラマティックな展開にお約束の大爆発「Freedom」。オリジナルよりも若干落とされたテンポがそのヘビネスに拍車をかけていた「Killing In The Name」。・・・・・・・・とどれもこれも烈火の如く盛り上がる完璧な演奏を披露してくれていた。しかしそんな余りにも完璧すぎるその内容は、ステージ上の彼らと、その下のフロアにいる自分との距離感に、ものすごい差を感じさせる結果となった。 というか自分ひとりにはダイレクトに受け止められないほどのエネルギーがステージ上からは放出されていた。 もっと分かりやすい簡単な表現をすれば、今日の会場は狭すぎた、という一言に尽きる。 一応3万人収容とは言っても、レイジの音をこんな屋内の狭っ苦しい場所に閉じ込めておくのはなんとももったいない話だ。彼らのライヴビデオ「The RATM Video」には屋内アリーナと英国レディングフェスティバルでの演奏シーンが盛り込まれているのだが、どう見てもレイジのキャパを十分に発揮できているのはレディングでのプレイの方だし、屋内の方はどうにも煮え切らない閉塞した印象しか自分には与えない。 自分は1度だけだが、2度のフジロックへの出演時に感じたように、行き止まりのない過酷で且つ無防備な状況下で世界と対峙してこそ、コーンともリンプとも違うレイジのリアリティーを人に感じさせるのだと思った。そしてそれがアメリカのアリーナ会場でレイジを観たときに言い知れないほどの不満とフラストレーションを感じたひとつの大きい理由だったのだと今ごろになって分かった。 自分にとっては、相手がでかければでかいほど、そこに戦いを挑む姿に共感を覚える唯一のアーティストが、このレイジ・アゲインスト・マシーンなのである。
- Kick Out The Jams (MC5 Cover)
- Bulls On Parade
- Testify
- Guerrilla Radio
- People Of The Sun
- Bullet In The Head
- Calm Like A Bomb
- Bombtrack
- ?
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- The Ghost Of Tom Joad
- Born Of A Broken Man
- Know Your Enemy
- Sleep Now In The Fire
- Freedom
- War Within A Breath
- Killing In The Name
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Page maintained by: Katsuhiro IshizakiLast updated: 6/ 25/ 00
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