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洗剤でうがい
 昔、アルファさんが洗剤でうがいしていたことがあるが★1、普通人間は洗剤でうがいしたりしない。
 ではあれはどういうことか。
 まず、そんなことが可能なのかをみてみよう。
 誌面から彼女の使用していた洗剤はキッチン用中性洗剤ユズであることがわかる。残念ながらユズは手元にないので現世のキッチン用中性洗剤を見ると成分は次のとおり。
  • 界面活性剤
  • アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム
  • アルキルアミンオキシド
  • 脂肪酸アルカノールアミド
<拙宅のファミリーフレッシュより>
★1第3話「しましまのごろごろ」

 また、同洗剤の注意書きはこんなふうだ。
  『幼児の手の届くところに置かない。肌荒れをする方は手袋をする。食器は流水で5秒以上洗い流す。』等々
 この文からはいかにも害があるようにとれる。 しかし、この成分中で生体に重大な害をおよぼす物質はというと、実は無いのである。
 実際、同洗剤には万一飲み込んだ場合の対処法が書かれている。
  『水を飲ませる。』
 これだけ。(笑)
 食器や野菜を洗うものなのだから、そんな毒になるような成分であるわけがないのだ。

 よって、キッチン用中性洗剤でうがいすることは可能といえる★2
★2とはいえ、界面活性剤など、まるっきり無害じゃないので試しに飲んでみたりしないように。


 次にその必要性についてだが、そもそもあれはどんなシーンだったのだろうか。
 朝起きてすぐに、うがいだけすることはないだろうから★3、歯を磨いた後か?
 いや待て、歯磨き後のうがいなら水だけで充分だ。
 もしかすると、あれがアルファさんにとってのハミガキに相当する行為なのではないだろうか。
★3もしするなら”目覚めの一杯”が台無しである。

 うがいをしただけでハミガキの代わりになるかと言えば、そんなはずはない。歯に付着したデキストラン(歯垢の主成分)を削ぎ落とさなければハミガキとは言えない。そして食物を口にする以上、デキストランはできてしまうのが普通である。
 しかし、彼女たちにはデキストランができないとしたらどうだろうか。

 デキストランを生成するのはストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)という口腔常在菌だが、人間の場合この細菌は生まれたときには存在していない。それが成長過程で、母親の唾液などから感染することにより定着してしまうのである。そしてこの感染は2歳ぐらいまでの期間限定であり、それを過ぎると他の口腔常在菌のバランスが確立してしまい、新たな菌の入り込む余地が無くなってしまうのだ★4
 彼女たちの開発陣もこれを見逃すはずはなく、極力この細菌の感染を排除しただろう。さらにはロールアウトの段階で既にバランスを確立させていたと考えた方がいい。
 つまり、彼女たちは放っといても虫歯にならない可能性は十分にあるのだ。
★4実際、感染を免れた人はいて、その人たちはほとんどハミガキをしなくても虫歯にはならないそうである。

 となると、あとは口臭に気をつければいいだけである。

 現世ではイソジンとかリステリンとかモンダミンなどのうがい用薬品があるが、そんな贅沢薬品があの世界に存続しているとは思えないし、あったとしてもアルファさんは買い求めたりしないだろう。

 だからアルファさんが、少しばかりの殺菌と口臭予防のために洗剤でうがいしていたとしても問題はないのである。

 さて、ここまでで、あの行為をアルファさんにとってのハミガキだとすることはできるようだが、必ずしもそうしなければならないわけではない。普通に人間のようなハミガキをしたって目的は達成できるからだ。

 ではこの考察は間違いなのか?

 あのシーンを、単に「自分の口内を食器に見立てて洗剤で洗っていた」ととることもできるが、それはあるまい。なにしろ、アルファさんちの洗面台には歯ブラシが無い。普通食器を洗うときはスポンジやたわしでこするものだが、それに相当するものがないのは不自然だ。

 しょうがないので逆に、普通のハミガキを選択する必要があるのかを考えてみる。

 前述のように彼女たちは、ハミガキの細菌に対する効果を必ずしも必要としてはいない。しかし、人間社会で暮らす彼女たちにとって、人と異なる行動★5はとりづらいのではないだろうか。
 だとすれば、彼女たちは人間と同様のハミガキを選択するだろうし、たぶん研修でもそのように教わるだろう★6

 だがしかし、ことアルファさんに関してならどうだろうか。

 アルファさんは自分がロボットであることに関心が無い、つまり「人間らしくあろうとする」ことがないのは周知のとおりである。
 そういう性格ならば、前述のような条件が働くとは言えないだろう。また、そんな性格に成長することを許したオーナー(および彼女の教育関係者)ならば、彼女にいかなる強制も与えなかったことは想像に難くない。
 そうすると、たまたまアルファさんがあの方法を選択したのだと言うほかなくなってしまう。彼女の場合、「洗剤でうがい」を選択する必要はないが、同様に「普通にハミガキ」を選択する必要もないのだから。

 とはいえ、彼女もサイコロを振って選択したわけではないだろうから、その成長過程で決定要因となった出来事があったにちがいない。だが、そのエピソードは語られていないし、これから語られることもないだろう。となると周辺情報から想像で組み立てるしかないが、それはまた別の機会としよう。もっとも彼女がものぐさなだけという可能性もなきにしもあらずだが。(笑)
★5虫歯にならないという、普通の人間よりも優位にあることを示すものならなおさらである。
★6だから、ココネは普通にハミガキをしているでしょう。
お泊りでアルファさんと一緒にハミガキしただろうから影響されてるかもしれないけど。


 ところで、洗剤ってどんな味がするんでしょうね。 練り歯磨きの方がよっぽど刺激が強いだろうから、アルファさんもそれがイヤだったのかも。

ページ9 目次 インターミッション4

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