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さてさて、ターポンに関して第2段である。
前回は大きさと高度を求めてみたけど、高度は不採用になってしまった。
しかし、その後BBS上での議論もあったりしたので、またいろいろ計算してみたいと思う。

飛行機としてのターポン
 
ターポンを飛行機としてみた場合に、その速度と妥当な質量を求めて必要な推力を探ってみる。
 
速度
  いきなり難題。ターポンの速度を求めるうえでカケラでも糸口があるのは一個所しかない。
第20話「鵬(HOH)」だ。 で、次のシーンを使う。 ちなみにこれは前回も使ったものである。

第27コマ:アヤセとアルファさんが見上げている


第35コマ:アヤセとアルファさんが見送っている

 速度とは移動距離と経過時間から求めるが、移動距離はBBSで有力となった高度20kmを用いて求めることができる。
 問題は経過時間だ。上にあげたシーンはゆっくりめに読むだけだと1分ぐらいだが、コマ間に込められた時間というものを考慮して2分と見た。
 これには異を唱える人もいるだろうが、以降はこれをもとに計算している。要望があれば別の値での結果も掲載することにしたい。
 今回は長いのでいきなり結果である。
飛行高度20000m(20km)
見かけの移動角度60°
通過距離34641m
所要時間120秒
∴速度288.68m/s = 1039.23km/h = 0.87mach
 で、マッハ1も出ていない。地球の一周に39時間弱だ。しかしこれはあくまでアルファさん(観測者)から見た速度である。
 ここでは観測者自身も地球の自転に乗っているので、それも考慮しなければならない。
 その際にターポンの飛んでいる方向が必要になるが、北の大崩れが現世の長者岬とした場合、第13コマから、西→東とみることができる。
観測緯度北緯40°
自転による観測者速度357.51m/s
自転交差角0.00°(西→東)
∴真の速度646.19m/s = 2326.28km/h = 1.94mach
 約マッハ2。 まぁこんなものか。

質量
   質量はターポンの揚力(ようりょく)から求めることにする。 揚力とは飛行機の翼がうみだす上向きの力のことである。
翼長4680m
翼面積1267200m2
揚力係数0.3
大気密度(20km)0.0889kg/m3
∴揚力7.06E+09kg・m/s2
 計算には速度が必要だが、当然上で求めた値を使用している。また、翼長は前回求めた値であり、翼面積はそれを元に三角翼として近似した値である(ちょっといいかげん)。
 そして、揚力係数は一般的な値や、後で出てくる抗力係数との関係から仮定したものである。
 
 で、この揚力で地球の重力にさからっているわけだから質量を求めることができる。
 人工衛星なんかは遠心力でさからっているが、ターポンはそれに比べてとても遅いので遠心力はちょっとだけである。
 質量 = 揚力 ÷ (重力−遠心力)
遠心力で賄える抗重力0.07m/s2(重力の0.66%)
揚力から必要な抗重力9.74m/s2
∴質量7.24E+08kg = 約72万t
 72万トン! 原油を満載した超大型タンカーが空を飛んでいるようなものである。
 あるいは戦艦大和が10隻束になって飛んでいるようなものと言ったほうがわかりやすいか。(そうか?)
 ただし、すごい値だが、密度でいうとジャンボジェット(B747)の半分くらいである。 これは驚き。
 頑丈な構造材と、強力なエンジンさえあれば飛べるということか。

推力
   要するにエンジンのパワーである。
 この場合、推力はターポンの抗力(こうりょく)に等しい。 抗力とは翼が揚力を生み出す際に発生する進行方向に反対向きの力のことである。
抗力係数0.01
∴抗力2.35E+08kg・m/s2
 計算には速度、翼面積、大気密度が必要だが、当然質量のときと同じものを用いている。
 また、抗力係数は揚力係数と密接な関係にあるが、ここでは一般的な値で、かつ揚力係数の30分の1を下限として仮定した。この30分の1ってのは現代でも達成できていたと思ったが、詳しい人はお手紙ください。(笑)
 
 さて、2.35E+08kg・m/s2? トンでいうと推力2まん4せんトン?
 はっはっは、そんなエンジンあるわきゃないじゃないか!(米爆撃機のB52で推力50トンくらいだったかな)
 
 いやまて、可能性が無いわけじゃない。ターポンはあれだけデカイんだから1基のエンジンでまかなう必要もあるまい。
 といっても100基も1000基も付けるわけにいかないだろうから最大10基としよう。
 それでも1基あたり2.35E+07kg・m/s2(推力2400トン)か。
 こうなると現存するエンジンをどう改良してもどうにもならないので、今はまだないが考案はされていて実現性のあるエンジンを候補としよう。
 それは慣性核融合エンジンである。(マンガの中の話じゃなくて現実に研究されている。)  手元の資料にはいくつかの核融合エンジンがあるが、もっとも高推力なものは、ローレンス・リバモア国立研究所(米)のローデリック・ハイデにより考案されたレーザー核融合エンジンである。そのスペックは次のとおり。
推力3.00E+06kg・m/s2
エンジン構造サイズ最大直径100m×長辺500m
エンジン構造質量500t
 これでもまだ一桁足りないが、このエンジンは、10年前に出された第1案より二桁性能が上がっているし、改良できる余地はドライバやペレットゲインなどまだ残されている。だから現在からターポンが建造されるまでにトータルの性能でもう一桁あげることは十分に可能といえるだろう。
 また、エンジンが1基あたり500トン、10基で5000トンだが、ターポン自体が72万トンもあるので特に問題にはならないし(全質量の1%に満たない)、サイズもターポンのエンジンブロックに十分おさまる。
 なお、技術向上率が30倍ぐらいとするとエンジンは3基でよくなり、ターポンの外観とマッチしてとても都合がよい。がんばれ開発者達よ!
 
 ただし、ひとつ問題がある。
 これだけの推進力を得ることができた場合は、火星まで一ヶ月で行けてしまうので、私が考えていた製造目的では何年分もの燃料を備蓄している理由が見つからなくなってしまうのである。 どーしましょ。(自爆)
注)今回は異論の余地が結構あるので、
そういう方はこのカルクシートで再計算して下さい。
MS-Excel 5.0/95のブック(LZH書庫)です。
大鵬 速度・推力

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