第四話 「お気楽ヨットばか」の巻


 もう何年も前の初夏、そろそろ週末には梅雨入りするだろうと言うような6月の始めの真っ青の空の水曜日、「今日は会社に行かない」と決める。

 マリーナに行こう!デッキにごろんと横になり、色々な亊を考えよう!遠くでトンビのピーヒョロロを聞きながら、そのうちウトウト眠ってしまおう!突然そう思いついて通勤着をTシャツに着替えて家を飛び出した。人が見ていない所でちょっとスキップしてみた。
病欠のはずの翌日、こんがり小麦色で出社したのは言うまでもありません(-_-;)

 ヨットを始めて1年とちょっと経った頃の思い出です。1年のうちで1番大好きなこの時期になるといつも思い出します。

 わたしがヨットに乗り始めたのは真冬の1月。それまでは冬でも毎週海に通う人種が居るなんて全く知らなかったんだけど、「へぇー!こーんな生活をしてる人たちがいるんだ!」とちょっとしたカルチャーショックを受け、その次の週から毎週海通い。

 とにかく一年中みんなと乗って走り回ることが楽しくてしょーがなかったのです。で、夕日の中で後片付けして、あ〜今日も楽しかった!って言って帰るだけ。マーク打って練習?その頃そんなもん全然しませんでした。とにかく毎週海に出てひたすら遊ぶだけ(笑)。楽しかったなぁ〜。もちろん今もすごく楽しいんだけど、その頃の亊は、今のわたしにとって、かなりダイジな豊かな時間だったと思っています。

 葉山には今でこそ、其処此処にじょっしーセーラーが闊歩していますが、当時葉山にはJ/24 <レティシア> のカッコイイレーサーのお姉さん達以外は、真冬でも毎週来るキトクなじょっしーは、わたしとあと一人くらいしかいなかったので、冬のマリーナのお風呂はいつもわたしだけのもの(笑)

 冬でも葉山に入り浸る変なじょっしーということで、あるJ/24のオーナーから、レディスチームに入らないかと誘われたことがありました。でも当時のわたしは、そんな所でビシバシやってくつもりなんてじぇーーーーんじぇんなかったんですよね。だからその場で断っちゃった(笑)

 「あの頃J/24に乗ったりしたら今頃どんな風になっていたかなあ〜。バリバリになってたかな〜」とか時々考えたりするけれど、あれからずーっとお気楽ヨットばかを続けられているのも、今こーんなに草レースが楽しくて仕方ないのも、とことん楽しんでいたあの頃の事が全てのファンデーションとなっていることは事実なんですよね。ヨットだけじゃなく、楽しくパワフルに生きるというライフスタイルにおいても。

「じょっしーセーラーの新しいスタイルだね」
最近そんな風に言われました。

 ヨットに目覚めてレーサーに乗って、そのままバリバリやっていくっていうのは男性に比べたら少ないながらも、生涯ヨットに乗り続けるウーマンセーラーとしてはよくあるパターンです。でもわたしみたいに、レーサーでもないのに、
「行くぜ!クラブレース!がるるぅ〜!」とか言ってるアホっぽいじょっしーてのはあんまりいないらしい。

 「それは中途半端ってヤツだよ」とどこからか聞こえてきそうな気もしますがぁ、だってだってだってぇ、楽しいからいいんだもーん!

 そう言えば、レディースチームは数あれど、じょっしーだけでクルージングにしてるフネには出会ったことってないなあ。ブルーウォーター派レディースチームとかあってもいいし。紅一点はよくあるけど、黒一点とかだってありだと思うし、じょっしースキッパーで、男は全員奴隷クルーとかいうのも女王様みたいでいいなぁ。

 という訳で、これからもカタチに捕らわれず大好きな海を満喫して行きたいと思っている次第でございます。\(^o^)/

・・・またじょっしーネタになっちゃった(笑)

 

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