あなたの知らない秘密の世界


その日は夏休みであったので、朝はゆっくり起きたのであった。目覚ましにはラジオ付き時計というか時計付きラジオというか、そんなようなもので07時過ぎに起きたのであった。

目覚ましに使うのはNHK第一である。特に理由はないが、中波民放だと気持ちよく寝ているときにいきなりコマーシャルとか聞かされるとちょっとうるさいような気がする。ちなみにFM放送は朝は静かな音楽が多いので目覚ましには不向きである。過去目覚ましラジオが作動したのに気がつかずに寝坊したことがあった。各人注意されたし。

さてニュースの後には地方の放送局からの話題に移行した。各地の話題とか列島リレーニュースとか、つぎは四国の話題を愛媛県の松山放送局からお送りします、とかいうやつだ。ボケーっとしながら聞き流していた。

NHKのどこの地方かは思い出せないのだが、その放送局のアナウンサーは次のような話題を伝えたのであった。かいつまんで書くと以下のとおりである。

・**市のAさんは、真空管を収集しており、今は150本を超えています。
・Aさんは真空管をつかってオーディオアンプを自作しています。
・Aさんは、真空管アンプの魅力について語りました。
・以上??放送局からお送りしました。

ちょっと待っていただきたい。

真空管でオーディオアンプを自作することって、こんなところで取り上げるほどの話題なのだろうか? まあ確かに普遍的な趣味でないことは確かだ。渋谷を歩いている女子高生に「あなたは真空管アンプを自作したことがありますか?」と聞いたら、1000人中1000人が「なにそれーちょうやばいってかんじー」とか言うのに決まっている。っていうか女子高生に聞くなよそんなこと。

普遍的な趣味ではないし、自分もアンプの自作などしたこともないが、初歩のラジオとかラジオの製作などを読み、アマチュア無線をやりクラシック音楽のCDを140枚ほど持っていたりすると、そういう人もいるということを承知するものである。そんな遠い世界の話ではない。渋谷にはいないかもしれないが、秋葉原で「あなたは真空管アンプを自作したことがありますか?」と聞けば多分1000人中3人くらいいるんじゃないだろうか。もっと多いかも。もっとも、たとえ秋葉原であっても女子高生に聞いてはいけないが。いや、秋葉原を歩いている女子高生だったら・・・・?。

あのNHKの地方の話題はどういう基準で選ばれているのだろうか。自分で売り込むのか? ご近所の方が通報するのか? いずれにしても真空管アンプを自作するというのは変わったことだという認識が世の中にあるということなのだろう。

翻って考えてみると、アマチュア無線も近いうちに変わった趣味だということになるのではないだろうか。NHKの地方の話題で取り上げられる日も近いかもしれない。

・浦和市のJN1WTQさんは、アマチュア無線をやっております。
・コンテストでは300局以上と交信します。
・QSLカードをオリジナルイラストで作成しています。しかも
女の子のイラストです。
・以上浦和放送局からお送りしました。

ちょっといやかも。


(1999年9月12日UP)


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