hernia(ヘルニア)はラテン語で「脱出」を意味する言葉です。
医学的には「体内の臓器・組織が本来あるべき場所から逸脱している」ことで、
鼠径ヘルニア(脱腸)や臍ヘルニア(でべそ)のように身体の外に飛び出しているのもあれば、
体内にあって目視で判断できないものもあります。
椎間板脊椎(=背骨)の骨と骨の間にあって、クッションの役割を果たしているのが
椎間板です。

立位の状態で背骨が縦に重なっている人間は、重力がかかるため
中心にあるゼリー状の髄核が圧し潰されやすくなります。
これが何らかの理由で、本来の位置から飛び出すと
椎間板ヘルニアになり神経を圧迫するというわけです。
主に20代から40代で、重いものを持った時など腰に負担をかけるのがきっかけになりやすいです。
どの椎間板がどの神経を圧迫しているのかによって症状は様々なため、無痛で気がつかない方もいれば
足があげられなくて歩行に影響する方、立っているのも座っているのもつらいという方もいます。
また、椎間板の水分は20代の頃からだんだんと失われていくので、中高年になると柔軟性が失われ
変形することで
腰部脊柱管狭窄症になりやすくなります。
10代の場合は椎間板に問題があることは少ないですが、スポーツなどがきっかけで疲労骨折する
腰椎分離症やそれがさらに悪化した
腰椎分離すべり症になることがあります。
これらが原因で、 腰だけではなくおしり、足まで痛みやしびれがでる症状を
坐骨神経痛と呼びます。
いずれにしても、発症する時期の目安です。
若い頃の腰椎分離症が原因で、年齢が上がってからも痛みが出ることなどもありますので
年齢だけで決めつけないで検討してみる方が良いでしょう。
腰椎椎間板ヘルニア |
腰部脊柱管狭窄症 |
腰椎分離症 |
20代から40代に多い
高齢者が新たに発症する
ことは少ない |
中高年に多い
|
成長期に多い
スポーツ選手は特に多い
|
腰の椎間板の一部が
ヘルニア(=飛び出す)に
なることで神経を圧迫する
|
脊椎や椎間板の後ろにある
神経の通路(脊柱管)が、
骨や椎間板の変形によって
狭くなる |
腰椎が亀裂、分離する
体をひねる動作や
ジャンプを繰り返すことで
なりやすくなる |
後ろに反らすと軽減する |
前かがみ、座ると軽減する |
|
前かがみになった時
痛みが強くなる |
背筋を伸ばして歩いたり
後ろに反らすと痛む |
後ろに反らすと
痛みが強くなる |
|
歩行中に足が痛みが出て
休憩すると回復する
間歇性跛行が特徴 |
悪化すると、骨が
本来の場所からずれる
分離すべり症になる |
腰椎のヘルニアと逆で、首を後ろに反らせた時に強くでるのが
頸椎椎間板ヘルニア です。
寝違えや肩こりだと勘違いするような首や肩の痛みだけでなく、腕や手、場合によっては足にまで
痛みやしびれなどの影響がでることがあります。
細かい動作(ボタンをはめる・箸を使う・本のページをめくる)が上手くできなくなったら要注意です。
腱鞘炎だろうと思ってシップやサポーターで対応してみたけれど、なかなかよくならないという時は
原因が他にあることを疑ってみるのが良いかもしれません。
また、首の場合でも腰と同じく
頸部脊柱管狭窄症があります。
症状はヘルニアと似ていますが、MRIで違いを確認することができます。