102.高槻市金竜寺丁石一覧

↓末尾へ 文字ずれ時はブラウザの幅や「Ctrl」と「+」、「-」キーで倍率変更等して下さい。
写真eimg8957 写真eimg8804
【本堂跡への石段】 【摂津名所図会に描かれた丁石か】

目次
 1.参道概要
 2.十三仏参道
 3.丁石全般
 4.丁石一覧
 5.丁石詳細
 6.十三仏の種子
 7.地図

1.【参道概要】
『高槻の道しるべ』高槻市教育委員会発行、昭和58年刊には、一、三丁が無く、二丁から弁天池横の十三丁迄存在する。
としている。
 国立国会図書館デジタルアーカイブの『攝津名所圖會』. [6]のコマ番号59に絵が載り、説明(コマ番号57)には
「成合村の山腹にあり、坂路八丁標石あり」とし、現在の参道以外に、別の参道(成合東の町か)もあったようである。
絵の中には、当参道と思われる道に、台石が付いているが、それらしき石標が二基見られ、これが丁石なら、寛政十年
(1798年)より前に建てられていたとする事が出来るかも知れない。
尚、上図には書き忘れたが弁天池の右、方丈へ登る階段下にも石標があり「十三丁」かも知れず、参詣口近くにも数基
が見える。)

2.【十三仏参道】
 先ず、当参道の起点であるが、明確な目安(寺標や鳥居)が無く、高槻市安満御所の町2の西、府道79号安満御所の
町北交差点を北に70m「金竜寺丁石建立紀銘石」が建っておりこことするか、又は、明治の地図に見える一般道(現府
道に相当)との分岐点の何れかであろう。途中「二丁」や、「四丁」丁石辺りから成合へ行く道も見えるが、起点とは
し難い。
 現在の地図で「紀銘石」から本堂が有ったと思われる地点(現在は基礎だけが残る跡地)まで、水平距離で1.2q
(11丁)となり、13基(石)を1丁間隔で建てるには、少し窮屈な気がするが、『高槻の道しるべ』にも解説されて
いるように、「十三仏信仰」の影響を受けて、本来の距離を示す丁石の機能よりも、「十三」に拘った建て方をしたと
考えるべきか。
 「紀銘石」に「従是…」とあり、本来であれば、この石が起点であるべきだが、これが移設されていると考え、明治
の地図にある参道分岐点にあったとして、古丹波街道(柳谷観音道・京坂越え道)の磐手橋の北で参詣道が分岐する三
ツ辻とすると、南西に60m程度の地点と想像でき、そこから本堂迄の距離が1.3q(12丁)となるもやはり、やや短
いと思える。
 距離の問題を除いても、「紀銘石」の移設は間違いないと思われるが、明確な根拠は示し得ない。
 尚、丁石の常識として、「一丁」が無いとするのは無理からぬものであるが、十三仏を表わすものとして、建てたも
のであるなら、梵字で示される種子が重複するのもおかしく、「紀銘石」を1基目、「二丁」を2基目とするのは当然
と思われる。
 尚、この参道を「太閤道」として紹介するものが多くありますが、「太閤道」は昭和も戦後に創られたもので注意を
要する。
 又、この道は、高槻市「市道成合6号線」と通行止め看板に書かれていた。因みに通行止めは「成合5号線」。

【その他参道】
 『攝津名所圖會』に書かれた「坂路八丁標石」参道は、成合東の町、法満寺の南より東に登り、金竜寺の西へ続く道
と思われるが、2018年現在、通行止めで未調査である。
尚、明治の地図では、更に北、成合中の町、西王寺南から登る道も見えるがこれも同様である。

3.【丁石全般】
 形状について、「山型板碑」としたが、詳しく述べると
1.正面から見ると、頂部が「ヘ」の字に見え「山型」と表現した。
2.正面幅と、奥行の長さを比べ(27:18=1.5:1)、「柱」「角柱」とはし難く、「板」とした。
3.全て正面の碑面部に、「龕」を設け、その中に梵字が蓮台に載った丸印の中に彫られている。
  「龕」部の左右の幅はほぼ4p、頂部三角部で7p、深さは1〜1.5pと成っている。
  (梵字にしたのは、13仏を明確に表現したかったものであろう。)
4.正面の幅より、背面の幅が、0.5〜2p程度狭くなって成っている(奥に向かってテーパー状)。
  これは高さ方向についても言えるようで、下部が1p程度広いものも見受けられる。
5.上部山型部分の稜線が前から後ろに向かって、1〜2p程度下がっており、背面部分では、故意か、欠損か分からな
  いが丸くなっているものもある。
 設置場所について、
石標を建てる時の常識であろう、平地部に建つ「記銘石」を除き、全て山側に、道に向かって建てられている。
全体的に距離が短いので各丁石の間隔も短めであるが、「6丁」から「7丁」が短く、その分「8丁」へ長くなってお
り、「7丁」が、25m下のように思われ、元位置辺りの地形を見ると崖崩れも考えられ、ややましな、現位置に移設さ
れたのではないかと考えられる。
 又、9丁から12丁間は20〜30%も短く距離不足のしわ寄せがこの区間に見られる。尤も10丁から12丁の間が
一番勾配がきつい場所であり、現在の参道より遠回りしていた可能性は考えられるが、どうか。

4.【丁石一覧】
高槻市金竜寺丁石一覧
丁数位置正面方向道の左右梵字/丁数大きさマップ距離/間隔m
N34.867192 E135.6298911.不動明王   カーン/従是到山上龍池十三丁105x東面32(裏面31)x18p(頂高7p、稜線1p下る)(龕部85x24x-1.5p)

0/ 0

N34.867911 E135.6299952.釈迦如来   バク/二丁76x南面27.5x18.5p(頂高7p、稜線1p下る)(龕部69x19x-1p)

83/ 83

N34.86983 E135.629977北西4.普賢菩薩   アン/四丁82x北西面27.5(裏面26)x18.5p(頂高7p、稜線0.5p下る)(龕部70x20x-1.5p)

308/225

N34.87076 E135.630255北西5.地蔵菩薩   カ/五丁73x北西面28(裏面27)x17p(頂高5p、稜線2p下る)(龕部65x19x-1p)

414/106

N34.871461 E135.630981西6.弥勒菩薩   ユ/六丁76x西面27.5(裏面26.5)x17.5p(頂高6p、稜線2p下る)(龕部62x19x-1p)

520/106

N34.872218 E135.6310287.薬師如来   ベイ/七丁80x東面27.5(裏面26.5)x18p(頂高6p、稜線3p下る)(龕部70x20x-1p)

605/ 85

N34.872954 E135.632226南東8.観音菩薩   サ/八丁83x南東面27.5(裏面26.5)x18p(頂高7p、稜線1p下る)(龕部68x20x-1.5p)

742/137

N34.873783 E135.6325379.勢至菩薩   サク/九丁79x東面27.5(裏面25.5)x18p(頂高5p、稜線2p下る)(龕部68x19.5x-1.5p)

843/101

10N34.87408 E135.63334510.阿弥陀如来  キリーク/十丁85x南面27x17.5p(頂高7p、稜線2p下る)(龕部70x20x-1.5p)

928/ 85

11N34.874415 E135.63374911.阿シュク如来 ウン/十一丁85x南面27x17p(頂高7p、稜線2p下る)(龕部64x19x-1p)

998/ 70

12N34.874903 E135.63403912.大日如来   バン/十二丁79x南面27.5x16p(頂高5p、稜線1p下る)(龕部67x19x-1p)

1090/ 92

13N34.875587 E135.63467913.虚空蔵菩薩  タラーク/十三丁82x南面27(裏面26)x17.5p(頂高6p、稜線2p下る)(龕部70x19x-1p)

1200/110


注)「正面」とは丁数の刻まれている面、「道の左右」は金竜寺へ向かって、「大きさ」は基礎部を含まない地表高、
「頂高」は山型前部の高さ。

写真eimg8778 写真eimg8766 写真eimg8818 写真eimg8843
【1.起点】 【2.】 【4.】 【5.】

写真eimg8849 写真eimg8866 写真eimg8881 写真eimg8895
【6.】 【7.】 【8.】 【9.】

写真eimg8908 写真eimg8919 写真eimg8932 写真eimg8946
【10.】 【11.】 【12.】 【13.】

5.【丁石詳細】


写真eimg8778
東面
┌――――――――――――――――――――――――┐
│    従是到山上龍池十三丁因茲表石彫十三佛種子│
│    以令人結永劫不壊勝縁仰願登山尊早一見種子│
│(梵字)                    │
│    摧破無明十界俗正自歸本元而巳      │
│    延寶丙辰暦卯月十四日邂逅山住法印澄賢立之│
└――――――――――――――――――――――――┘
(梵字はカーン「不動明王」の種子)

写真eimg8766
南面
┌――――――――――――――――――――┐
│(梵字)二町              │
└――――――――――――――――――――┘
(梵字はバク「釈迦如来」の種子)

写真eimg8818
北西面
┌――――――――――――――――――――┐
│(梵字)四丁              │
└――――――――――――――――――――┘
(梵字はアン「普賢菩薩」の種子)

写真eimg8843
北西面
┌――――――――――――――――――――┐
│(梵字)五丁              │
└――――――――――――――――――――┘
(梵字はカ「地蔵菩薩」の種子)



写真eimg8849
西面
┌――――――――――――――――――――┐
│(梵字)六丁              │
└――――――――――――――――――――┘
(梵字はユ「弥勒菩薩」の種子)

写真eimg8866
東面
┌――――――――――――――――――――┐
│(梵字)七丁              │
└――――――――――――――――――――┘
(梵字はベイ「薬師如来」の種子)

写真eimg8881
南東面
┌――――――――――――――――――――┐
│(梵字)八丁              │
└――――――――――――――――――――┘
(梵字はサ「観音菩薩」の種子)

写真eimg8895
東面
┌――――――――――――――――――――┐
│(梵字)九丁              │
└――――――――――――――――――――┘
(梵字はサク「勢至菩薩」の種子)



写真eimg8908
南面
┌――――――――――――――――――――┐
│(梵字)十丁              │
└――――――――――――――――――――┘
(梵字はキリーク「阿弥陀如来」の種子)

写真eimg8919
南面
┌――――――――――――――――――――┐
│(梵字)十一丁             │
└――――――――――――――――――――┘
(梵字はウン「阿シュク如来」の種子)

写真eimg8932
南面
┌――――――――――――――――――――┐
│(梵字)十二丁             │
└――――――――――――――――――――┘
(梵字はバン「大日如来」の種子)

写真eimg8946
南面
┌――――――――――――――――――――┐
│(梵字)十三丁             │
└――――――――――――――――――――┘
(梵字はタラーク「虚空蔵菩薩」の種子)


6.【十三仏の種子】
1.不動明王   カーン
2.釈迦如来   バク
3.文殊菩薩   マン
4.普賢菩薩   アン
5.地蔵菩薩   カ
6.弥勒菩薩   ユ
7.薬師如来   ベイ
8.観音菩薩   サ
9.勢至菩薩   サク
10.阿弥陀如来  キリーク
11.阿シュク如来 ウン
12.大日如来   バン
13.虚空蔵菩薩  タラーク

7.【地図】
写真eimg6780
【6.金竜寺参道地図】

写真eimg6774
【7.高槻中部の道標】
写真eimg6742
【8.高槻南部の道標】
文字ずれ時はブラウザの幅や「Ctrl」と「+」、「-」キーで倍率変更等して下さい。 ↑先頭へ