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泣く
 アルファさん自身はこう言っている「本来私の涙腺は目を潤すためだけのもの」と★1。それは確かに主たる目的の一つだろう。しかし涙とは本来目を潤すためだけのものではない。嬉しいとき、悲しいとき、寂しいとき、...。人間は感情が高ぶったときに、それを抑えるために涙を流す。つまりストレスを発散し、ココロの平静をとり戻そうとしているのである。
 しかし、犬や猫が涙することはない。彼らの涙はそれこそ「目を潤すだけ」である。頬を伝う涙っていうのは我々霊長類のみに見られる現象である。これは明らかに大脳新皮質のなせる業で、発達した情緒活動が精神に与える影響が無視できなくなってきたため、その軽減措置として「泣く」ようになったと考える。
 彼女たちはどうだろうか。 作中で涙したことがあるのはアルファさんだけだが★2、挙げてみる。
  • 一人で月琴弾いてるとき
  • 人の情けが身にしみたとき
  • 髪の毛爆発が一週間も直らないと聞いてなさけないとき
  • 久しぶりにココネに会えてうれしいとき
  • 昔の人が残してくれた光の花を見て感動したとき
  • 鶚n号とシンクロしてすぐ別れなければならなくてかなしいとき
 基本形の「かなしくて」もあるし、「うれし泣き」や感動してのものもある。誰だ、「目を潤すためだけのもの」なんて言ったのは!
★1ここでも彼女たちの眼が生体素材であることがわかる。
★2実は人間も含めてアルファさんだけ(笑)


 見るべき点はもう一つある。彼女たちが高いレベルで情緒活動を行っていることはわかったが、感情の4大要素、喜怒哀楽の中の「怒」だけが作中に現れていないことである。まぁ、これは彼女たちが幸せなためだと思うが、一度はそんなシーンを見てみたいとか思ってしまうのは私だけだろうか。

病気しない?
 いきなりだが、彼女たちは本当に病気をしないのか。 そもそも病気をするというのは主として体内に侵入した細菌やウィルスなどの病原体により体機能が低下変遷することをいうわけだが、病原体たちは感染できる相手をけっこう選ぶ。例えばインフルエンザウィルスの中には、鳥には感染して人間にはしなかったり、ブタには感染して鳥にはしない種類がある。それを考えれば、いわば新種の生体である彼女たちに病原体たちが対応できないのも無理からぬ話である。もちろん開発者たちも既知の病原体にはかからないように配慮しただろうしね。
 しかし病原体たちもいつまでも同じなわけではない。'97年には前述の鳥にしか感染しなかったウィルスが人間にも感染するように変異した話題があったように、今まで安全だったからといってこれからも安全とは限らないのだ。聞いた話では病原体たちの変異の周期は10〜40年ということだ。そうとなれば彼女たちの年齢★1を考えても、もうそろそろエジキになってもいい頃ではあるまいか。おっとちょっと不謹慎だったかな。なにしろこほこほやってるココネを看病したいもので...。
 実際、アルファさんも「私の場合、風邪はひかないかもしれないな」と言っている、「かもしれない」ってね。
★1アルファさんの実年齢は10歳以上、40歳以下

みんなの船
老化しない
 前にアルファさんは恋愛感情を理解できる、すなわち彼女自身が恋愛感情を持つことがある、といったようなことを書いた。しかしそれは素晴らしい反面、当人には辛いことであるかもしれないといわなければならない。彼女たちが老化しないからだ。 ここで問い。 どちらが幸せか。
  1. 一生、恋愛を知らずに生きつづける。
  2. 愛した者が年老いて死んでいくのに、自分は若いまま生きつづける。
 ...。 私自身はこの何れにも該当しないし、あくまでも私見だが、あえて答えを出すならば 2.の方をとりたい。あの「何か」が自分の中でエネルギーにかわる瞬間の嬉しさは他のいかなるものとも代えがたいからだ。(#よくわからない人は将来の自分にハッパをかけてください。)
 しかし、一番いいのはやっぱり、
  1. 愛した者と同じ時代を生きて、そして死んで行く。
 である。開発者たちがそうしなかったのは、先生の「本来のスペックからは説明できない」発言に示されるように、そこまでの人格形成には至らないと思っていたからに違いない。罪なことをしてくれたものだ。まだしも彼女たちに、「自らの生きた時代を後世に伝える」とかいった役目を与えていたならば少しは救われるのかもしれない。
 また、老化はジーンプログラムによってわざわざ起こされているが★1、彼女たちにはこのプログラムが最初から組み込まれていないのだろうか。 否。 眠らされているだけだと願いたい、そしていつか彼女たちが強く願ったとき、目を覚ますのだ、と。
★1進化のため

ページ3 目次 インターミッション1

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