文法の骨格 ――〈16箇条〉


 第 1条   第 2条   第 3条   第 4条 
 第 5条   第 6条   第 7条   第 8条 
 第 9条   第10条   第11条   第12条 
 第13条   第14条   第15条   第16条 
 寄り道



 どんな言語であれ(形式言語であれ自然言語であれ)、言語仕様を定 めているのは構文規則と語彙です(その底に意味規則が横たわっていま すが)。このふたつが揃って言語が成り立ちます。

 構文というのは、ひとことでいえば「文法」です。ひとつの文はどん な要素を組み合わせてできる(できている)のか、文にはどんな種類があ るのか、どんな種類のことばをどんな風に並べるとどんな働きをするの か、そういった規則を明らかにするものです。

 語彙というのは簡単にいえば「辞書」です。どんなことばがどれくら いあるのか全部書き並べたものです。辞書の中のことばを規則に従って 並べれば、正しい文ができあがるし、逆に見たり聞いたりした文を規則 に従って分解し、判らないことばを辞書で引けば、その文が何をいって いるか理解できる、ということになっております。

 ここではその構文の骨格ともいうべき〈16箇条〉を紹介します。原典は エスペラントの〈原典〉とされる『エスペラントの基礎(Fundamento de Esperanto)』です。



第1条 冠詞

  1. 冠詞は定冠詞 la があるだけである。数や格による変化はしない。

 定冠詞の使い方は次のとおりです。

  1. 既出のものやことを指し示す。
  2. 種の全体を指し示す。
  3. 世界に唯一のものを指し示す。

第2条 名詞

  1. 名詞には名格(基本形)と対格がある。
  2. 基本形。名詞には語尾 -o をつける。
  3. 複数形。基本形に複数語尾 -j をつける。
  4. 対格。基本形または複数形に対格語尾 -n をつける。

 上の規則に例外はありません。すべての名詞が上の規則に従って変化 します。

 名格(基本形)とは辞書に載っている形のことです。名格の働きは次 のとおり。

  1. 主語。
  2. 補語。
  3. 呼びかけ。

 なお前置詞と組み合わせる場合は通常名格を用います。

 対格の働きは次のとおり。

  1. 直接目的語。
  2. 直接目的語の同格語。
  3. 移動の方向

 名詞については第4章で取り上 げます。

第3条 形容詞

  1. 形容詞には語尾 -a をつける。
  2. 名詞の数・格に一致する。
  3. 比較級は形容詞の前に副詞pliをおいて示す。比較対象を示すには接続詞 olを用いる。
  4. 最上級は形容詞の前に副詞plejをおいて示す。

 上の規則に例外はありません。すべての形容詞が上の規則に従って変 化します。

 「形容詞は名詞の数と格に一致する」を表にすると次のようになります。

「美しい花」(bela floro), 「よい本」(bona libro)の 変化
単数複数
名格bela florobelaj floroj
bona librobonaj libroj
対格belan floronbelajn florojn
bonan libronbonajn librojn

 比較級の例はこんな感じ。

Li estas pli sagxa ol mi. -- 彼はわたしよりも頭がいい。
Sxi havas pli multajn librojn ol li. -- 彼女は彼よりたくさん本を持っている。

 最上級で比較対象を示すには前置詞elを、比較の範囲を示すには前置 詞enを用います。この違いはちょっと微妙かも。

Li estas la plej sagxa el ili. -- あの連中の中では彼がいちばん賢い。
Sxi havas la plej multajn librojn en la klaso. -- 彼女はクラスで最も多くの本を持っている。

 劣等比較にはmalpli, malplejを用いてまったく同じように表します。

 形容詞については第4章 で取り上げます。

第4条 数詞

  1. 基本数詞は次のとおり。
    1unu2du3tri 4kvar5kvin
    6ses7sep8ok 9naux10dek
    100cent1000mil
  2. 100万未満の数は、基本数詞をそのまま並べる。
    11 dek unu
    25 dudek kvin
    119 cent dek naux
    555 kvincent kvindek kvin
    1000 mil
    2001 dumil unu
    999,000 nauxcent naudek nau mil
  3. それ以上の数、あるいはゼロは名詞形で示す。
    0nulo100万miliono
  4. 形容詞語尾 -a や副詞語尾 -e をつけると序数になる。
    形容詞副詞
    unuunua最初のunue最初に
    dudua二番目のdue二番目に
  5. 倍数、分数、組はそれぞれ接尾辞をつけて示す。
    接尾辞
    倍数 -obl- duobla (二倍の)
    duoble (二倍で)
    duoblo (二倍)
    分数 -on- duona (二分の一の)
    duone (二分の一で)
    duono (二分の一)
    -op- duopa (二つ組の)
    duope (二つ組で)
    duopo (二つ組)

 いろいろな数の例は 第1章にも挙げてありま す。配分(……に〜ずつ、など)についての規則がありますが、割 愛しました。

 数詞というのは形の上からいっても働きや振舞いからいっても、名詞 でも形容詞でもなく、なんだかフシギな存在です。形容詞みたいに名詞 を修飾しますし、それ自体で名詞的な働きをしたりもしますし、副詞み たいに見える時もあります。

Kvin pomoj estas sur la tablo. -- テーブルの上にはりんごが5個あります。
Ili amas unu la alian. -- 彼らは互いに愛し合っている。
Ni tri cxiom estis amikoj. -- わたしたち3人はずっと友達でした。

 「ゼロは名詞として」とありますが、ゼロにも数詞形(nul)がありま す(というのか、語根だけで使う用法もあるというべきか)。

 数詞に名詞語尾 -o をつけると、「その数そのもの」とか「その数で 表されるもの」といった意味合いになります。「数名詞」というようで す。

名詞形 意味合い
unu unuo 1。単位
du duo 2。二人組
tri trio 3。三人組
dek du dekduo12。ダース
dek kvin dekkvino15。ラグビーの1チーム (フィフティーン)

 ごめんなさい。最後の「15」の例は辞書に載ってませんでした。が、 きっとこういう言い方をするんじゃないかな。

 序数や倍数、分数、組は、比喩的にも使われます(「半分」といって も必ずしも正確に2分の1ではなく、「半ば」といった感じで使われるこ とがあります)。

第5条 人称代名詞

  1. 以下の人称代名詞がある。
    単数複数
    一人称mi ni
    二人称 ci vi
    vi
    三人称 liili
    sxi
    中性gxi
    一般(不定)oni
    再帰si
  2. 対格には対格語尾 -n をつける。
  3. 形容詞語尾 -a をつけると、所有形容詞として働く。

 二人称の ci は、現在は殆ど用いられないとのことです。

 一般(不定)人称代名詞とは、不特定の何者か(「世間」とか「一般」 とか)を指し示すものです。

Oni diras ke vi faris tion. -- きみがやったんだって、みんな言ってるぜ。
(「きみがやったんだって話だぜ」の方が「いい訳」でしょうか)
Cxi tie oni vestigxas tian veston. -- ここではそんな服が流行りです。

 再帰代名詞というのは、主語を後続の句や節や文で指し示すもので、 「自分の(に)」といった感じのことばです。なぜこんなものがあるか というと、そういうときにliやsxiを使うと、「主語とは別の彼や彼女」 という意味になるからです。なので、使い方には注意が必要です。

Li amas lian pliagxan fratinon. -- 彼は(主語である彼とは別の人の)姉を 愛している。
Li amas sian pliagxan fratinon. -- 彼は(主語である彼、つまり自分のの) 姉を愛している。

 一人称、二人称の再帰代名詞はなく、mi, ni や vi を使います。

Mi amas mian pliagxan fratinon. -- わたしはわたしの姉を愛している。
Vi amas vian pliagxan fratinon. -- あなたはあなたの姉を愛している。

 人称代名詞の形容詞形は所有形容詞として働きます。

Mia fratino. -- わたしの妹(または姉)。
Liaj libroj. -- 彼の本。

第6条 動詞

  1. 動詞の語尾は以下のとおり。
    語尾
    不定形-iami (好む、愛する)
    直説法 現在-asamas
    過去-isamis
    未来-osamos
    命令法-uamu
    仮定法-usamus
  2. 主語の数や人称による変化はしない。
  3. 以下の分詞接尾辞をつけて名詞、形容詞、副詞を作ることができる。
    進行 完了 将然
    能動-ant--int--ont-
    受動-at- -it- -ot-
  4. 動詞estiと分詞形容詞を組み合わせて合成時を表す。 動詞estiと受動分詞形容詞を組み合わせて受動態を表す。
  5. 受動態の意味上の主語は前置詞 de で表す。

 上の規則に例外はありません。すべての動詞が上の規則に従って変化 します。

 「不定法」は、辞書に載っている形です。

 参考文献はここでもやはり「性による変化はしない」と言っています。

 動詞については第4章で取り上 げます。

第7条 副詞

  1. 副詞には語尾 -e をつける。
  2. 副詞語尾のつかない副詞(原形副詞、本来副詞などと言われる)がある。
  3. 副詞の比較級、最上級(劣等も含む)は、形容詞のそれに準ずる。

 副詞の比較も形容詞と同じように表します。ただし、最上級には定冠詞la はつけないようです。

Li laboris pli multe ol mi. -- 彼はわたしよりもたくさん働いた。
Sxi kuras pli rapide ol li. -- 彼女は彼より走るのが速い。
Li laboris plej multe el ili. -- あの連中の中では彼がいちばん働いた。
Sxi kuras plej rapide en la klaso. -- 彼女はクラスでいちばん足が速い。

 比較の事由となる副詞は省略してもよいことになっています。ついで にolが導く節が名格の場合と対格の場合とを並べて、合わせて例を示し ます。

Sxi amas min pli ol sia fratino. -- 彼女は自分の姉(または妹)よりもわたしを愛している。 (自分の姉/妹がわたしを愛するよりも)
Sxi amas min pli ol sian fratinon. -- 彼女は自分の姉(または妹)よりもわたしを愛している。 (自分の姉/妹を愛するよりもわたしを)

 原形副詞とか本来副詞とかいうのは、言い方を変えれば「派生したの でない副詞」ということです。30〜40ほどあります。

Li baldaux venos. -- 彼ならじきに来るだろう。
Sxi tuj endormigxis. -- 彼女はすぐに眠りに落ちた。
Ankaux ili kolerigxis. -- 彼ら怒っていたよ。
Ecx mi ploris. -- ぼくでさえ泣いた。

 jesやneは疑問に対する間投詞として使われますが、これらも副詞扱 いされています。どうやらこの言語では、「副詞」というのはほかの言 語における以上の地位を占めているんじゃないかと、筆者は睨んでいま す。

 副詞については第4章で取り 上げます。

第8条 前置詞

  1. 前置詞が従える名詞は、原則として名格である。

 たとえば英語では、前置詞の後に人称代名詞が置かれる場合、目的格 をとります。フランス語ではどうだったかな(忘れちゃった)。そうでは なくて、エスペラントでは名格(基本形)なんだよ、ということです。

第9条 発音

  1. それぞれの語は書いたとおりに発音する。

 第1章で触れていま す。

第10条 アクセント

  1. アクセントは常に各語の最後から二番目の母音にある。

 アクセントは「強弱」型ですが、長めに発音するのがよいとされてい ます。

第11条 語の合成

  1. 単語を結合することで語を合成することができる。その際、主にな る語を末尾に置く。
  2. 分詞接尾辞が付加された形も合成語を作れる。

 これについては第5章で触れます。

第12条 否定

  1. 副詞 ne で否定を表す。ただし、他の否定語がある場合は使わない。

 neの直後の語が否定の対象になります。

Mi ne amas sxin. わたしは彼女を好きではない。
Mi amas ne sxin. わたしが好きなのは彼女ではない。
Ne mi amas sxin. 彼女を好きなのはわたしではない。

 「ほかの否定語は云々」は、こういうことです。

Li neniam faras tion. -- 彼は決してそんなことはし ない
Mi neniel povis fari tion. -- どうしてもでき なかった

第13条 対格

  1. ある語が移動の方向を示す際には、対格をとる。

 これだけではなんのことやら判りませんが、前置詞句中の名詞や副詞 に対格語尾をつけて、移動の方向を示します。

  1. Sxi prenis la taso sur la tablo. -- 彼女はテーブルの上の カップを取った。
    Sxi metis la tason sur la tablon. -- 彼女はそのカップをテーブルの上に置いた。
  2. Kie vi estas? -- あなたはどこにいますか。
    Kien vi iras? -- あなたはどこに行くのですか。

第14条 前置詞とjeと対格

  1. 前置詞はそれぞれ一定の意味を有している。
  2. どの前置詞を用いればよいか不明の場合には、意味不定の前置詞 je を 用いることができる。
  3. 前置詞の代わりに、対格を用いてもよい。

 「それぞれ一定の意味を有している」なんて当たり前だろう、と思っ てはいけません。英語とかフランス語とかで、辞書を引けばそれぞれの 前置詞の意味は出ています。でも、たくさん意味があって、しかも雑多 ですね。まったくかけ離れた意味というのも多くはありませんが、すべ て関連性があるとも見えません。それに対して、エスペラントの前置詞 はそれぞれがまとまりのある意味を持ち、関連のある使い方をされる、 ということを言っています。

 前置詞は実際には名詞だけでなく、副詞も従えます。前置詞を連接し た「二重前置詞(句)」なんてのもあります。

Kato staras sur la tablo. -- テーブルの上に猫がいる。
De tiam oni ne vidas la katon. -- その時以来、 その猫を見たものはいない。(tiamは副詞)
Kato elsaltis el sub la tablo. -- テーブルの下から猫が飛び出した。(elもsubも前置詞)

 前置詞については第6章で取り上げま す。

 「意味不定の前置詞」は Good idea と思いました。コンピューター (プログラミング)ではこのような「抜け穴」は機能拡張上の鍵となる 場合があります。アプリケーションでいえばOSのコマンドや外部プログ ラムを実行する機能を備えていること、言語処理系でいえば任意のシス テムコールを呼び出す汎用のインターフェイスを提供すること、CPUで いえば割り込み命令やトラップ命令などに相当するでしょう(こうした 機能はセキュリティ上は文字どおり「穴」となる危険もあるんですが)。

 長年の用例の積み重ねで、前置詞 je は(1) 時刻を表す場合、(2) 距 離や重量など数値を表す場合、に用法が限定されてきているとのことで す。またこれらの場合でも、前置詞を多用すると文が重く感じられるな どの理由で、対格を使うことが多くなってきているようです。詳しくは 第6章をご覧ください。

第15条 外来語

  1. 多くの国で同一語源に由来している語は、そのままエスペラント化 してよい。
  2. 外国語で、共通する語根ないし基本語から派生しているような単語 群は、語根ないし基本語をエスペラント化し、そこからエスペラン ト的に語を派生させるのがよい。

 「エスペラント化」とは、大雑把にいえば、綴りをエスペラント風に 置き換えたり、または発音をエスペラント風に置き換えたりして、末尾 に然るべき品詞語尾をつけることです。 第1章で「よその ことばに似ている」例を挙げましたが、あんな感じです。

 二番目はこういうことを言っています。computerという英単語はそも そもcomputeという動詞からきています。そこで、computerをそのまま komputeroとするのでなく、komputiというエスペラント動詞から、「道 具」を表す接尾辞 -il- をつけてkomputiloとするのがよい、というこ とです。

第16条 母音の省略

  1. 名詞と冠詞の末尾の母音を省略してもよい。省略した場合には省略 符号(')をつける。

 韻文のための規則のようです。散文で使うことはないと思います。

寄り道

 勉強のし始めにこれらを知った時には、「これで全部か。本当に簡単 だな」と思ったことでした。

 しかし、たったこれだけの規則でひとつの言語を規定できる筈がない ので、実際にはこれ以外の規則が多数存在します。そうでなければ文法 書の出番などなくなります(^^)

 もちろん、構文と並んで語彙(辞書)があり、その対で規定できれば いいとも言えますが、この〈16箇条〉以外の意味規則をすべて個個の単 語に背負わせるのも酷でしょう。前置詞は時とともに増えたり減ったり し得るから構文規則に記述するのは気が引けるところもありますが、 「それぞれ一定の意味を有する」とだけ言われても困っちゃうので、 「前置詞というものがどう働くかの原則」は、個個の語を超え たところで、つまり文法規則として説明されるのが自然ですっきりして いるように思います。それに、「名詞」「形容詞」「副詞」といった用 語が特に説明もなく使われているのは、いわゆる〈無定義術語〉として 受け入れるとしても、それぞれの〈関係〉についてぐらいはきちんとし た説明が欲しいところです。

 またたとえば「時制」をどう扱うのか、この16箇条からではよく判り ません。基本的な(そして重要な)機能である 「品詞転換」、あるいは接頭辞接尾辞 の一般的な働きについても明確な説明がありません。動詞不定法や名詞 句は名詞と同じように扱えますが、「名詞そのものではない」として、 補語には形容詞ではな く副詞を使います。〈16箇条〉にはそれの理論的基盤も説明されて いません。こうしたことはみな構文規則として記述するのがよいように 思います。

 今の筆者の考えでは、〈16箇条〉はこのことばの根幹を流れる底流の ようなもので、「ここをいじったらエスペラントじゃなくなる」という ぎりぎりの規則をまとめた、という程度のものではないでしょうか。あ るいは、もっと醒めた見方をすれば、ザメンホフは当時想定していた 「読者」(つまりフランス語、英語、ドイツ語、ロシア語、ポーランド 語のいずれかを解する人人)にとって自明であろうと思えることは書か なかったのでしょう。

 ともあれ、「エスペラントの文法規則は16個しかない」「だ から簡単だ」などというのはナイーブな感想ないし思い込みといえます。 この〈講座〉でもそんな言い方はしていません。

 といっても、この〈16箇条〉を批判したり否定したりしているつもり はありません。何といっても、これは100年以上前に作られてそのまま のものですが、その間に言語学も形式言語理論も進歩しました。筆者は 「職業」柄コンピュータ上の言語デザインという観点から見る傾向があ るに違いなく、これはまさに言語学や形式言語理論の賜です。今の知識 や今の視点で昔を批判したり否定したりするのはたやすいことですが、 それはタブーでしょう。

 あの、上の文章は「歴史は 教科書の中で起こっているんじゃない」を書く前に書いたものです。 念のため。
 それに、自然言語は文脈に依存するのが当然の言語、というか文脈や 「言外の含意」によってこそ支えられる言語体系であること、その解釈 機構(インタープリター)は人間の脳の中にしかないことを考えれば、 規則を明文化するのは却ってまずいことにもなりかねません。規則は時 間とともに変わり得るし、場合によっても変わってくるからです。言語 の変化や発展を妨げず、といってぐちゃぐちゃに崩れるのを防ぐために は、16個くらいの規則が「いいところ」なのかも知れません。

 また、自然界人間界における物質的精神的のほぼ無限の現象を絡めと ろうとするには、実際の用例の積み重ねを通じて「文法」を形成してい くのがもっとも妥当な方法なのかも知れないな、とも、最近では思いま す。それが可能であるためには奔放な〈逸脱〉も可能でなければなりま せんが。

 しかし、であれば、現在の科学の成果を用いてこの言語の構文を再構 成してみてもいいのではないでしょうか。〈人工言語〉だからというの ではなく(自然言語でだってそういう試みは続いているのですから)、 それによってこの言語に新しい生命を吹き込まれるかも知れないという 考えからです。

 なんて、言わずもがなのことを言ってしまいました。


(2001.04.03)

(2001.09.03改訂)




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