37.島本町柳谷参道丁石一覧

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【1.観音入口の石段 【2.山門前の石段】 【3.山門から本堂】 【4.境内案内図】
 丁石の起点と思われる】

目次
 1.参道概要
 2.柳谷道参道
 3.丁石全般
 4.地蔵型丁石一覧
 5.地蔵型丁石詳細
 4.角柱型丁石一覧
 5.角柱型丁石詳細
 6.地図

1.【参道概要】
 国立国会図書館デジタルコレクションの『都名所圖會』6巻. [4]のコマ番号65に説明絵が載り、
『柳谷観音堂』として、「奥海印寺村の西半里ばかりにあり…」とあるが、詳しくは書かれておらず、挿絵も「奥海印
寺寂照院」の端に遠景の屋根が見えるだけであり、参道の手掛かりは載っていない。
 『史跡をたずねて』島本町教育委員会発行、平成18年刊では、島本町からの参道として3つのコースを解説しており、
ここに挙げてみる。
@.元「島本町字草ケ渕山の道標」−尺代−「十二丁丁石」−墓地(大沢分岐点)−柳谷観音、3q
A.元「島本町字草ケ渕山の道標」−採石場西尾根−府界−浄土谷−墓地−柳谷観音、3.8q
B.「島本町東大寺2の道標」−西福寺−滝谷墓地−半坂山尾根−府界−浄土谷−墓地−柳谷観音
 ここでは、@の参道を「柳谷道」と呼ぶことにする。(ABは未調査)

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2.【柳谷道参道】
 先ず、当参道の終点であるが、現存する「二丁」丁石から考え、現府道から北東に真直ぐ山門へと続く階段の上部と
なるであろう。これは、京都側参道上の「三丁」丁石から見ても同一地点となるようである。
 参詣道の出発点を丁数表示から見ると、
1.「東大寺の道標2/2」、30丁
2.「十八丁の丁石」 、18丁
の二つであるが、丁数標示が無いもの
3.「字草ケ渕山の道標」、3q(28丁)
4.「尺代橋西詰の道標」、2q(19丁)
も参道開始点と言ってよいかもしれない。
 尚、丁石によくみられる特徴として、最初と最後の紀銘(碑面の文字)が中間のものと、異なることが多く、これを
もって、最初、最後を判断するなら「十八丁」から「二丁」、或いは「尺代橋西詰の道標」から「二丁」が狭い意味で
の「柳谷道参道」といえる。尚「尺代橋西詰の道標」は一連の丁石とよく似ているがやや小振りで、これを同時作成と
するかは微妙である。
ご近所の方の話では、丁石とは関係のないものですとの事であり、「十八丁」より遠いものは見かけないとも言われた。
依って、橋の東詰めからは分岐する道もなく、此処を参道の開始点(入口)としたい。
 「一丁」を最後とするか、0丁(本堂等)を最後とするかは分からないが、この参道の0丁となる地点の階段下東側
に、少しサイズは大きいがよく似た型式を持つ地蔵があり、光背右面に「十方施主銘々」、左面に「為先祖供養也」と
ありこれがゴールかも知れないが、下部に講名が入っていないので何とも言えない。
 新道との関係を見ると。現丁石の「十二丁」迄は、ほぼ旧道と同じルートで、地形に合せ等高線に沿って、尾根部分
はやや高い地点を通っていた様で、現在でも一部フェンスなどが付けられ(進入は制限され)残っている。
「十一丁」丁石のすぐ手前からは、北に現府道を離れ谷筋を直線的に進み、最終的には、現「四丁」丁石の地点で新道
と合流しているが、途中、八丁と七丁の間で新道(現府道)と交差して四辻を形成している。
この十一丁丁石は元(旧参道)建っていたと思われるが、その辺りへはフェンスで仕切られ進入できないが、前述の現
府道を横断する辻からは北(寺方面)と南(尺代方面)に入れるようであるが、道とは言えない状況である。出来る範
囲で調べた結果、明治の地図に描かれた道にほぼ沿って幾つかの丁石を見つけることが出来た。多分十丁から五丁まで
は新道に移設されなかったと思う。
 では現府道沿いに建つ丁石はいつ移設されたのであろうか。十一丁を捉えて考える。尺代の尺代大橋の南に建つ「道
路改修記念碑」にある「大正十年九月」に現府道筋が作られたのであればその時以降と出来るが、昭和6年地図ではま
だ旧道のままで現府道は載らず、昭和39(1964)年の地図には載るので、その間(多分戦後)に新しい道が出来、旧道
より新道へ移されたとできる。よって他の丁石の移設もこの間になると思われ、「十五丁」丁石等は最近の平板コンク
リートブロックに置かれるなど、最近でも移動や保守が行われていると思われる。

【その他参道】
 北や東の京都側からの参道を明治の地図から見ると、円明寺、八角、下海印寺、長岡天神あたりからの参道が広い道
の様に書かれているが、『都名所圖會』の扱いから見ても、京都から参詣する人は多くなかったのではないか。
一方、大坂方面からの参拝客には遠回りになり、当然利用は少なかったと思われる。
ただ、この参道上にも、島本町側の丁石に瓜二つの物が立っており、両方を取上げて論じる必要が大いに有る。
 西、高槻市川久保から島本町大沢を経由する参道もあり、茨木や高槻の山間部からこちらを目指す道標も見受けられ
るが、こちらのルートに知見が無く、ここには取上げない。

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3.【丁石全般】
 形状について、「舟底型地蔵」としたが、詳しく述べると
1.背面が現在のボートの底の様な形をして丸みを帯びており、正面から見ると、光背部分が舟先の様に尖る。
2.正面は中央に地蔵像を刻み、主に右側に丁数を彫っている。光背(地蔵像の背部)はやや凹面状である。
3.正面の下部は逆に前に出ており、両端より2,3p凸状に成っており、其上に地蔵立像が彫られている。
  最下部の幅はおおむね27p程度であり、地蔵像との間に、右からの横書きで「月参講」とある。
  「月参講」はよくある名前で、前に地名等が無ければ同定できない。
  地蔵の足元から頭の先までを像の高さ、一番広い肩幅部分、光背からの浮彫の厚みを計測した。
4.ほぼ光背先端に梵字を持ち、「カ」地蔵菩薩の種子であろう。)
5.多くは、中央に一つ花立用と思われる穴が突き出した形の台石の上に置かれているが、「十八丁」だけは前面が平
  板となっている。台石と地蔵が同時の作かは不明であるが、地蔵の背面が台石より後ろに出ているものが多く、別
  々に作成された可能性も高く、又台石を持たないものもある。
  ただ、地蔵の形式を見る限り、直接地中埋め込み型ではなく、台石は必須であったと思える。

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4.【地蔵型丁石一覧】
柳谷道地蔵型丁石一覧
丁数北緯東経紀銘道の 左右講名光背左部花立付き台石大きさGマップ上
の距離
(m)
前から
の距離
(m)
同左

(丁)
1934.898474135.655312「尺代橋東詰」0
1834.898897135.655199是ヨリ柳谷へ
十八丁
なし十八丁中央穴62x34x24p
(像部38x16x3p)
(台石22x43x30p)
50500.46
1634.899784135.653971是ヨリ十六丁月參講なし穴部突出65x29x16p
(像部39x14x3p)
(台石20x45x30+3p)
2001501.38
1534.900721135.653799是ヨリ十五丁月參講なしなし64x34x19p
(像部37x15x3p)
(ブロック6.5x20x14p)
3201201.10
1434.90157135.654187是ヨリ十四丁月參講なし穴部突出60x33x22p
(像部38x15x3p)
(台石23x45x30p)
4601401.28
1334.902169135.654296是ヨリ十三丁月參講なしなし64x30x18p
(像部39x14x4p)
530700.64
1234.903026135.654712是ヨリ十二丁月參講なしなし61x33x18p
(像部37x15x3p)
6301000.92
1134.903407135.655037是ヨリ十一丁月參講なし穴部突出61x32x22p
(像部37x14x3p)
(台石22x45x27p)
690600.55
834.906454135.655142是ヨリ 八丁月參講なし穴部突出68x23x?20p
(像部39x13x3p)
(台石20x42x29p)
10904003.67
734.907401135.65506七丁なしなしなし61x31x21p
(像部36x15x5p)
12001101.01
634.908263135.655017是ヨリ 六丁
法誉上人
月參講法誉上人穴部突出66x34x20p
(像部40x14x3.5p)
(台石13x43x29p)
13701701.56
434.909518135.653737是より四丁月參講なし穴部突出69x33x22p
(像部41x14x5p)
(台石16x40x27+3p)
15501801.65
234.91163135.653046是より二丁
釋 妙真
月参講釋妙真穴部突出65x31x21p
(像部27x14x4p)
(台石19x40x28p)
18102602.39
入口34.913453135.653526「府道階段上」20202101.93
地蔵34.913453135.653526「階段下地蔵」
十方施主銘々
為先祖供養也
なし為先祖供養也普通台石91x44x24p
(像部55x20x5p)
2030100.10


写真fimg1418 写真fimg1471 写真fimg1480 写真fimg1576
【19.尺代橋西詰地蔵 【18.】 【16.】 【15.】

写真fimg1603 写真fimg1623 写真fimg1661 写真fimg1684
【14.】 【13.】 【12.】 【11.】

写真fimg2029 写真fimg1946 写真fimg1972 写真fimg2068
【8.】 【7.】 【6.】 【4.】

写真fimg2132 写真fimg1762 写真fimg2153
【2.】 【0.階段上入口】 【0.階段下地蔵】

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5.【地蔵型丁石詳細】


写真fimg1418
南面
┌――――――――――――――――――┐
│ 右やなき谷            │
│(地蔵像)             │
│                  │
└――――――――――――――――――┘

写真fimg1471
西面
┌─――――――――――――――――┐
│ 是より 柳谷へ         │
│(梵字 地蔵像)         │
│  十八丁            │
└―――――――――――――――――┘

写真fimg1480
東面
┌─――――――――――――――――┐
│ 是ヨリ 十六丁  月      │
│(梵字 地蔵像)  參      │
│          講      │
└―――――――――――――――――┘

写真fimg1576
南西面
┌─――――――――――――――――┐
│ 是ヨリ 十五丁  月      │
│(梵字 地蔵像)  參      │
│          講      │
└―――――――――――――――――┘



写真fimg1623
西面
┌─――――――――――――――――┐
│ 是ヨリ 十三丁  月      │
│(梵字 地蔵像)  參      │
│          講      │
└―――――――――――――――――┘

写真fimg1661
北西面
┌─――――――――――――――――┐
│ 是ヨリ 十二丁  月      │
│(梵字 地蔵像)  參      │
│          講      │
└―――――――――――――――――┘

写真fimg1684
北面
┌─――――――――――――――――┐
│ 是ヨリ 十一丁  月      │
│(梵字 地蔵像)  參      │
│          講      │
└―――――――――――――――――┘

写真fimg2029
北面(残った台石から想定)
┌─――――――――――――――――┐
│ 是ヨリ 八丁   月      │
│   (地蔵像)  參      │
│          講      │
└―――――――――――――――――┘



写真fimg1946
南東面
┌─――――――――――――――――┐
│  七丁             │
│(地蔵像)            │
│                 │
└―――――――――――――――――┘

写真fimg1972
南西面
┌─――――――――――――――――┐
│ 是ヨリ 六丁   月      │
│(地蔵像)     參      │
│ 法誉上人     講      │
└―――――――――――――――――┘

写真fimg2068
北面
┌─――――――――――――――――┐
│ 是より 四丁   月      │
│(梵字 地蔵像)  參      │
│          講      │
└―――――――――――――――――┘

写真fimg2132
東面
┌─――――――――――――――――┐
│ 是より 二丁   月      │
│(梵字 地蔵像)  参      │
│ 釋 妙真     講      │
└―――――――――――――――――┘



写真fimg2153
北西面
┌─――――――――――――――――┐
│ 十方施主銘々          │
│(梵字 地蔵像)         │
│ 為先祖供養也          │
└―――――――――――――――――┘


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4.【角柱型丁石一覧】
柳谷道尖頭型角柱丁石一覧
丁数北緯東経紀銘道の 左右施主裏面等型式大きさGマップ上
の距離
(m)
前から
の距離
(m)
同左

(丁)
1234.903055135.654721十二丁同 癘{善吉なし尖頭型角柱75x18x18p
(頂高7p)
6301000.92
834.906469135.655117八丁同 川井善久なし尖頭型角柱78x18x18p
(頂高7p)
10403503.21
734.907402135.655082七丁同 竹沢伊□なし尖頭型角柱79x18x17p
(頂高7p)
11501101.01
634.908311135.654981六丁同 出石宗兵ヱなし尖頭型角柱79x17x17p
(頂高7p)
12701201.10
434.90953135.653742四丁なしなし尖頭型角柱89x18x18p
(頂高7p)
15002302.11
入口34.913453135.653526府道入口階段上部19702101.93


写真fimg1651 写真fimg2036 写真fimg1925 写真fimg1973
【12.】 【8.】 【7.】 【6.】

写真fimg1796
【4.】

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7.【地蔵型丁石詳細】


写真fimg1651
北西面
┌─――――――――――――――――┐
│十二丁 同 癘{善吉       │
└―――――――――――――――――┘

写真fimg2036
北面(起立させたとして)
┌─――――――――――――――――┐
│八丁 同 川井善久        │
└―――――――――――――――――┘

写真fimg1925
南東面
┌─――――――――――――――――┐
│七丁 同 竹沢伊□        │
└―――――――――――――――――┘

写真fimg1973
南面
┌─――――――――――――――――┐
│六丁 同 出石宗兵ヱ       │
└―――――――――――――――――┘

写真fimg1796
北面
┌─――――――――――――――――┐
│四丁               │
└―――――――――――――――――┘


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8.【地図】
写真eimg6777
【5.柳谷参道丁石】

写真eimg6776
【6.島本町の道標】
文字ずれ時はブラウザの幅や「Ctrl」と「+」、「-」キーで倍率変更等して下さい。 ↑先頭へ