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BLOOD THE LAST VAMPIRE

「闇の王編・終わらない闘い」  

    ―第三話―

作者・アレックソ

 僕はあまりのショックから立っている事が出来ず。その場に崩れ落ちた。

「何故なの?母さん…

 母さんも翼手になってしまったの?」

「母さんはね、耐えられなかったのよ…

 あの人を失い、そして貴方も小夜さんと行ってしまった…

 あの人を失った悲しみから母さん一人では立ち直れなかった。

 でも、そんな時“あの声”が聞こえてきた…」

「あの声?」

「そう、“言葉は力である!!”って」

その言葉を聞き、僕は絶望する。

母さんは、闇の王の“言葉”を受け入れ翼手となってしまっていたんだ…

人の血を吸いながら生き続ける、呪われた鬼に…

「嘘だ!いつも傍には瑠璃亜が居てくれたじゃないか!!」

「そうね…瑠璃亜ちゃんは本当に良くしてくれたわ。

 母さんも本当の娘のように思ってる、でも所詮は他人…

 母さんの心を…悲しみを癒すには不十分だったの。

 死のうとも思った…」

「そんな…」

「でもあの声を聞いた時、貴方と同じ時間の中を生きて居たいと思うようになったの。

 貴方と同じ苦しみを分かち合うことで、救われるんじゃないかって…」

「そんなの、間違ってるよ…」

「さぁ、貴方もこっちに来て。」

そう言って母さんは僕の方に手を指し出す。

僕はその手に導かれるように立ちあがる―あれ?本当に僕の意思で立ちあがったのだろうか?

「みんなで、暮らしましょう…永遠に!」

母さんの声に、僕の身体は引き寄せられそうになる…

「さぁ…来るのだ!私の“弟”よ!!」

カッツの声が、引き金になった。

僕の身体は、カッツの方へと歩き出していた…

―その時

「惑わされるな!!」

「!!」

叫び声が僕を正気へと戻す。

「目を覚ませ…自分の意思をしっかり持て!」

声のほうに振り返ると、そこにはセーラー服姿で日本刀を持った少女が立っていた…

第四話へ続く


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